ブータン、15年は通年キャンペーン、「秘境」イメージ脱却も

  • 2015年1月29日

ブータン政府観光局日本事務所の能登重好氏 ブータン政府観光局は1月28日、メディア向けセミナーを開催し、2015年に通年開催するキャンペーン「ビジット・ブータン2015」の取り組みについて説明した。同キャンペーンは、1974年に同国で観光産業を興したジグメ・シンゲ・ワンチュク前国王が、今年11月に60歳を迎えることを記念したもの。世界規模での写真コンテストなどを実施するほか、国交樹立30周年にあたる日本市場では、初の試みとなるプレスツアーや、業界向けの研修旅行も計画しているという。

 同キャンペーンでは2月から、世界規模の写真コンテスト「ブータン・フォト・キャンペーン」を実施。ブータン旅行の写真に「Happiness is」に続くメッセージを加えて特設サイト上に投稿するもので、3月末、6月末、9月末、11月11日、12月末の年5回、投票数の多い作品の出品者にブータン旅行などの商品を贈呈する。メッセージは、ブータンが独自の政策指針として「国民総幸福(GNH)」の向上を掲げていることにちなんだもの。そのほか旅行会社向けには、各社がツアー商品を紹介できる特設サイト「トラベル・パッケージ」を公開して、2015年中の掲載を保証する。

 日本市場では今後、僧院巡りや農家での民泊などテーマ性の強い商品開発を進め、ターゲットを従来のシニア層から「ネイチャー・アドベンチャー層」や「自由気ままな女性層」などにも広げたい考え。また、依然として「秘境」のイメージが強いことから、サイクリングやトレッキングなどのアクティビティをフックにした商品などの造成も呼びかけていきたいという。

 同観光局日本事務所の能登重好氏によれば、日本人のブータン観光は2011年11月の現国王夫妻の日本訪問によって大きく活性化し、2012年の日本人観光客数は前年度比76.7%増の6967人に急増。しかし「大きすぎたブーム」の反動によって、2013年は42.4%減の4015人にまで低迷し、2014年はさらなる低下が見こまれるという。日本事務所では「ビジット・ブータン2015」での活動により、2015年には4800人、2016年には6500人にまで戻したい考えだ。

松尾茜氏(左)と宮本亜門さん なお、セミナーでは、同国に2年8ヶ月滞在して政府観光局のティンプー事務所で勤務した松尾茜氏が、ブータンの生活文化や観光事情について説明。そのほか、昨年12月にブータンを訪れた演出家の宮本亜門さんも登場し、トークショーを開催した。