三越伊勢丹HD、100%出資の旅行会社新設-JTB伊勢丹トラベルは精算
三越伊勢丹ホールディングス(三越伊勢丹HD)は1月20日、100%出資の旅行専門子会社「三越伊勢丹旅行」を新設し、旅行事業を強化する。今までHD内でラグジュアリー旅行商品に特化してきた「三越伊勢丹旅行営業部」を母体にしたもので、7月1日から事業を開始する予定だ。資本金、資本準備金はそれぞれ5000万円で、代表者は未定。
新会社設立に伴い、JTBのグループ会社で三越伊勢丹の持分法適用会社のJTB伊勢丹トラベルは6月30日に会社精算するが、店舗は新会社が引き継ぐ。新会社の2015年度の売上目標は75億円とした。なお、三越伊勢丹旅行営業部の売上高は年間40億円強、JTB伊勢丹トラベルの売上高は2013年度で33億1300万円。
三越伊勢丹HDでは、2018年度の営業利益500億円を掲げ中期経営計画を推進しており、目標達成のためカードやスーパーマーケット事業など百貨店事業以外にも注力している。旅行事業については、シニア層の旅行市場の拡大や訪日外客数の増加などから、ラグジュアリー層をターゲットとした旅行は「お客様の期待の高いカテゴリー」との考え。100%出資の子会社を立ち上げることで、ラグジュアリー旅行市場での確固たるポジションの確立をはかる。また、子会社化は柔軟性とスピードをもった経営判断や、旅行専門人材の早期獲得・育成からも有用とした。
新会社は三越伊勢丹旅行営業部が提供してきた、高付加価値・高価格帯の旅行商品を継承。三越美術営業部と連携した特別企画ツアーをはじめ、百貨店のネットワークや三越伊勢丹ブランドを活用した募集型企画旅行商品を引き続き販売する。
新会社では国内旅行をきっかけに、同社の国内・海外旅行ファンを増やしていく方針だ。国内旅行では、三越オリジナルのラグジュアリーバス「三越プレミアムクルーザー」「三越グランドクルーザー」を活用し、他社と差別化した商品を企画、提供していく。同バスは45席設置可能な大型観光バスに10席のみを配したもので、広い化粧室も装備。現在2台ずつ保有しているが、今後増やしていく計画だ。バスを活用した訪日旅行商品も新たに取り扱う予定で、同HDの海外店舗や海外の旅行会社との協力、インターネットでの販売などを検討していく。
また、新会社ではJTBのパッケージツアーの販売も引き続き実施していく。JTB伊勢丹トラベルは会社精算をおこなうが、精算がJTBや三越伊勢丹の業績に与える影響は軽微とした。JTB伊勢丹トラベルは伊勢丹の店舗に5ヶ所の営業所を有しているが、新会社が引き継ぐ。