アシアナ、ソウルで交流イベント実施、市場回復・路線維持に向け

  • 2014年11月16日

OZ日本地域本部旅客マーケティング部長の金均會氏  アシアナ航空(OZ)は11月12日、ソウルの伝統文化体験施設「コリアハウス」に日本からの参加者約80人を招き、交流イベント「キムジャンフェスティバル in Seoul」を開催した。日本人旅行者の減少により縮小している韓国旅行市場の回復を目的としたもので、一般および旅行会社からの参加者が、ユネスコ人類無形遺産に登録されているキムチ作り(キムジャン)を体験した。同行した同社日本地域本部旅客マーケティング部長の金均會氏は、このようなイベントなどを通して地道な市場回復に務め、現在14ある日本路線については全てを維持していく考えを示した。

 今年6月には、OZと同じクムホアシアナグループに属する文化財団がNHK交響楽団のソウル公演を開催しているが、OZ単独でのイベント主催はこれが初めて。テーマの選定にあたっては、韓流ドラマやKポップなどのポップカルチャーの人気が一巡した現在、韓国観光公社(KTO)などが改めて伝統的な韓国のイメージを訴求していることなどを勘案したという。

 本誌のインタビューに応じた金氏は、今年の訪韓日本人旅行者数が約230万人となり、2012年の3分の2以下にまで減少することに危機感を示した一方、今後も他社のような運休はおこなわず、あくまでも減便や機材変更などで対応する方針を示した。OZは最も多くの日本/韓国線を運航している航空会社で、現在は日本の地方都市発の路線を中心に不採算路線を複数抱えているが、20年以上にわたって築いた日本の地方自治体との協力関係は維持したい考えだ。

イベントでは、韓国旅行業協会会長の梁武承氏(男性左)と、OZ副社長取締役兼旅客本部長の柳光熙氏(同右)もキムチ作りに参加した  金氏は、訪韓日本人旅行者が減少する一方で、訪日韓国人旅行者が急増していることについては希望的な観測を示した。来年の日韓国交正常化50周年に向けては、新規の路線開設は難しいとしたものの、韓国人旅行者からの人気が高まっている関空線や新千歳線、沖縄線などについては増便や機材変更などで座席供給量の増加に取り組む考えを表明。「柔軟に需給バランスを考えていきたい」とし、トータルでの需要拡大をはかりたいとした。なお、OZにおける訪韓日本人と訪日韓国人の利用者の割合は、来年にも韓国人の方が多くなるという。

 日本の大都市発路線を中心としたLCCとの競合激化については、「LCCも苦しいはずで、現在のような価格設定はそう長くは続かない」とし、競争は近いうちに落ち着くと予測した。OZとしてはサービスや使用機材などについて、「FSCの優位性を粛々とアピールしていく」という。ただしその一方では、「時にはLCCと対抗できるフレキシブルな価格も提供する」とし、今後は新たな取り組みとして、日本市場でも価格訴求型のキャンペーンを開始し、定期的に実施していく考えも示した。そのほかには「今後の重点事項」として、アジア/韓国/北米、ヨーロッパ間の3国間輸送にも注力し、旅行会社が造成するツアーでの採用増をめざすとした。

キムチ作りの終了後は伝統芸能を観覧。そのほか国賓級のVIPも宿泊する「ルネッサンス・ソウル・ホテル」の視察などをおこなった  OZでは今後も、今回のような交流促進イベントを継続的に実施していく考え。12月に日本旅行業協会(JATA)と韓国観光公社(KTO)が韓国で実施する1000人規模のメガファムツアーにも、座席提供などで協力するという。金氏は「2012年のようなチャンスは必ずまたやってくる」と述べるとともに、それまでは航空会社として地道な活動を続け、「利用者が増える時期を見極めていきたい」とした。