ANAセとモンベル提携、「エコトラック」で地域振興、鳥取から

  • 2014年11月5日

(左から)ANAセールス代表取締役社長の白水氏、鳥取県知事の平井氏、モンベルグループ代表の辰野氏  ANAセールスと総合アウトドアブランドのモンベルグループは、アウトドアスポーツによる旅行需要の喚起と各地域の活性化促進をめざし、提携する。モンベル代表の辰野勇氏が会長を務めるジャパンエコトラック推進協議会が提案する、アウトドアスポーツによるエコ旅「JAPAN ECO TRACK」に賛同し連携するもの。JAPAN ECO TRACKの第1号ルートとして選ばれた鳥取県の「境港・皆生・大山地域」について、15年4月以降、2社で旅行商品の共同企画や販売協力などを展開していく。

 JAPAN ECO TRACKは、ジャパンエコトラック推進協議会が提案する、アウトドアスポーツを活かして自然を楽しむ旅行の形態。各地で自転車、トレッキング、カヌーなどが楽しめるルートを設定し、国内外から幅広い客層をターゲットに、ルートや周辺地域の魅力を公式ルートブックやウェブサイトなどでアピールする。

モンベルグループ代表の辰野氏  辰野氏によると、ルートはモンベルが実施する「SEA TO SUMMIT」をベースにしたもの。SEA TO SUMMITはカヤック、自転車、ハイキングの3つのアクテビティで水辺から山頂をめざす環境スポーツイベントで、6年前から開始。自然との共生も考え、最大約300名限定で開催している。第1回は鳥取で実施した。2014年は境港・大山地域に加え、広島県の江田島、北海道の大雪・旭岳、秋田県・山形県の鳥海山、大阪府の奥河内で開催。今後はこれらの地域でJAPAN ECO TRACKのルート化をめざす。また、2号目のルートとして、モンベルがフレンドエリアと位置づける長野県との話し合いも進んでいるとした。

 旅行商品については、モンベルの持つアウトドアスポーツに関するノウハウと、ANAグループの航空ネットワークや旅行業のノウハウなどを活用し、年間を通して旅行商品を共同企画・販売していく。両社は2年前からしまなみ海道でのサイクリングや富士山登山ツアーなど、季節限定の旅行商品で共同企画を実施し協力してきたが、年間を通しての提携は今回が初めてとなる。

ANAセールス代表取締役社長の白水氏  ANAセールス代表取締役社長の白水政治氏は、従来型の観光中心型の旅行に代わり、スポーツツーリズムが流行してきており「かなりの隆盛になるのでは」との見方を示し、ANAセールスとしてスポーツツーリズムに注目していく方針を語った。旅行商品については来年2月から具体的にとりかかる予定で、ダイナミックパッケージを中心に展開していく考え。また、将来的にはインバウンド向けのツアーについても検討していきたいとした。

 一方、モンベルでも会員制度「モンベルクラブ」51万人の会員を対象に、ツアーの造成を検討中。同社広報部によると、商品は別になる可能性はあるが「JAPAN ECO TRACKを2社でタッグを組み、ツアーを作って販売していく」との位置づけで、互いを競合としては捉えていないという。

 また、インバウンド対応としてはモンベルの韓国店舗にガイドブックを置くなどの取り組みを考えているところだ。モンベルは国内で90店舗、韓国では国内の1.5倍以上にあたる140店舗を展開中。辰野氏は「JAPAN ECO TRACKのコンセプトそのものが海外からのお客様に好評。単なる観光ではなく参加型旅行で、海外、特にアジアの人々は興味を持っている」とし、同ルートでのインバウンド誘致にも意欲を示した。

 このほか、ANAセールスではモンベルが各地で展開しているスポーツ事業と提携していく方針だ。辰野氏も「モンベルクラブ向けに、ANAセールスともう一歩踏み込んだ新たな取り組みができないかを期待している」とした。