タイ、15年は観光年、独自の文化訴求-14年は133.9万人予想
タイ国政府観光庁(TAT)は2015年を「タイ観光年」と位置づけ、タイ独自の文化を訴求していく方針だ。9月24日に開催したイベント「アメージング・タイ・ナイト」で、タイ国観光・スポーツ大臣のコープカーン・ワッタナワラーンクーン氏は、今までタイはタイ独自の文化の魅力をアピールすることで「かつての危機的な状況を繰り返し克服してきた」と説明。2015年を食や手工芸品、各地方の生活文化などの「タイならではの文化」に主眼を置いた観光年に設定し、正式に発表する準備をしていると語った。
TATによると、2013年の日本人訪問者数は12年比13.02%増の151万5718人で、国別では第4位。タイ経済に約577億バーツ以上の収益をもたらしたという。今年の日本人訪問者数は、13年比11.66%減の133万9000人を見込んでおり、政情不安が今年の減少の主な要因との考えだ。
登壇した駐日タイ王国特命全権大使のタナティップ・ウパティシン氏は「新政府の下、タイは平和と安定を回復するための過程にあり、そして通常通りの安全な観光地に戻っていることを保証する」と安全面を強くアピールした。ワッタナワラーンクーン氏も、タイにはすでに新政府が発足しており「国家の治安の安定と、観光客に対する利便性の向上と安全の確保に取り組んでいる」ことから、「2015年はプラス成長」となる見込みを示した。
観光客に対する利便性の向上と安全の確保については、例えばプーケットやパタヤのビーチでの違法な物売りを禁止し、静かで清潔なビーチを取り戻す活動を実施。バンコクなどの空港からのタクシーシステムの改善や各交通機関のサービス向上、出入国、税関手続きの簡素化にも取り組んでいく。
また、イベントではTATアジア南太平洋地区担当副総裁のポンサトーン・ゲートサムリー氏が来年のプロモーション方針を説明。日本人訪問者数の7割以上を占めるリピーターに対し、有名な観光地だけでなく「特徴的なタイらしさを色濃く残した地方都市についての情報を発信する」と語った。
具体的には、北部のランパーンやナーン、東北地方のブリラム、中部地方のサムットソンクラーム、東海岸地方のチャンタブリ、南部のトラン、ナコンシータマラートなどの12地方都市を紹介していく予定だ。
このほか、タイならではの体験もアピール。3月にアユタヤで開催されるムエタイの祭典や、4月の水かけ祭り「ソンクラーン祭り」、11月にある水に浮かぶ灯籠で有名な「ロイクラトン祭り」などを紹介。アユタヤなどの世界遺産を自転車でめぐるプログラムや、タイのテキスタイルをテーマにしたルートもアピールしていくとした。