日本航空、MRJを32機購入、21年から順次導入へ
日本航空(JL)は8月28日、三菱航空機が開発中の小型短距離旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」を32機購入することで基本合意に達したと発表した。伊丹空港を拠点に路線を展開している子会社のジェイエア(XM)に2021年から順次導入を進める考えで、現在使用しているボンバルディア社およびエンブラエル社の機材を2028年頃までには全てMRJに入れ替え、燃料代などのコスト削減や地方路線の拡充などをはかる。また、これまで小型プロペラ機で運航していた路線もMRJに入れ替えるという。
発注額は定価ベースで1機あたり47億円。総額は約1500億円となる。日本国内の航空会社では既に、全日空(NH)が2008年にMRJのローンチカスタマーとして25機を発注している。
MRJは、三菱航空機が2017年の商用化をめざして開発を進めており、プラットアンドホイットニー社製の新型エンジンの採用や最新の空力設計技術の導入などにより、既存の同規模旅客機と比べて大幅な燃費性能の向上、騒音・排出ガスの削減を実現。また、幅の広い座席や大型の手荷物収納スペースなどの採用により、より快適な客室スペースも提供する計画だ。現在は標準座席数92席の「MRJ90」と、78席の「MRJ70」の開発が進行中。今年10月下旬頃には初号機の披露、来春には初飛行が予定されている。
JLと三菱航空機はこの日、共同で記者会見を開催し、JL代表取締役社長の植木義晴氏は、「現地にも伺って、次世代を担うに相応しい航空機になると確信した」と評価。機能面だけでなく導入後のサポート体制なども含めて、「納得のできる、良い条件をいただいた」と伝えた。三菱航空機代表取締役会長の江川豪雄氏は、日本を代表する航空会社からの受注が基本合意に達し、しかも既存の他社機材と総入れ替えをおこなう大きな評価を得たことについて、「信頼感が飛躍的に高まる。これまで以上に今後の受注に弾みがつく」と喜びを示した。
MRJの開発については、これまでに何度か遅れが報告されているが、江川氏は現在では順調に進捗していることを説明。植木氏も、「もはやその段階は超えている」との見方を示し、「2021年には準備万端の状態で納入されると考えている」と期待を寄せた。
なお、この日の会見でJLは、現在XMで使用しているエンブラエル170型機について追加購入するほか、エンブラエル190型機を新規購入することについても発表した。合わせて確定15機・オプション12機を2015年から導入することで契約を締結したという。これらについても、2028年頃までにはMRJに切り替える方針だ。