島根、遷宮の勢い維持に向けテコ入れ-石見、隠岐でプレスツアー

  • 2014年8月13日

島根県観光振興課「しまねの魅力発信室」室長の藤井洋一氏  島根県商工労働部観光振興課は8月7日、都内でメディア向けの観光情報説明会を開催し、昨年の出雲大社における「平成の大遷宮」ブーム後の観光客誘致策について説明した。今年は昨年に比べて訪問者の減少が見込まれていることから、歯止めに向け出雲エリア以外の石見と隠岐についてもアピールを強化する。

 同課で「しまねの魅力発信室」の室長を務める藤井洋一氏は冒頭の挨拶で、昨年は5月に出雲大社で約60年ぶりに本殿遷座祭がおこなわれたことから、同県の延べ観光客入込数は前年比26.1%増の3680万人となり、過去最高を記録したことを報告。今後については、ウェブなどで展開中の観光ピーアールキャンペーン「ご縁の国しまね」をアピールして引き続き認知度の向上をはかり、特に「首都圏での積極的なピーアール」をはかりたい考えを示した。

 具体的には、8月から9月にかけて「JRトレインチャンネル」などで広告展開をおこなうほか、9月から10月にはぐるなびとのタイアップで、食に関するイベントを都内15店舗で実施する。そのほか来年2月には、一連のピーアール活動のフィナーレとして新宿や表参道で街頭広告も展開するという。

プレスツアーの「隠岐コース」では国賀海岸でトレッキングなどをおこなう予定  説明会では、国土交通省の水質調査で4年連続日本一となった高津川を擁する石見エリアと、昨年9月に「世界ジオパーク」の1つに認定された隠岐エリアについて、それぞれ観光振興担当者が自然や食の魅力を紹介。あわせて、各エリアで10月上旬にプレスツアーを実施することを発表した。これらのエリアについては遷宮ブームの波及効果が少なく、入込数が落ちているため、メディアへの露出によってテコ入れをはかりたい考えだ。

 そのほか、説明会では神話などが数多く残る古代の歴史・文化や、石見神楽などの伝統芸能、工芸品などの魅力をアピールした。昨年の遷宮ブームにおいては、出雲大社が「縁結びの神様」として知られる大国主大神を祀っていることから、若い女性の人気を獲得することに成功したが、今後は歴史や伝統文化などをフックに、シニア層の獲得にも注力する。

 藤井氏は、今年の島根県全体の観光客数の目標について、「入込数が落ちるのは仕方がないので、どこで下げ止めるかが課題」と説明。県全体の認知度向上に向けたアピールと、出雲以外の各地域の紹介、幅広い世代へのアプローチに同時進行で取り組み、観光客の減少に歯止めをかけたいとした。