本田事務次官、首都圏増枠を具体化-訪日業者に「ルール」も

  • 2014年7月30日

国土交通事務次官の本田勝氏 国土交通事務次官に7月8日付で就任した本田勝氏は7月30日、交通運輸系専門誌の就任インタビューに対して、国土交通省が所管する各分野で政策の「具体化」に取り組むと抱負を語った。本田氏は、観光や航空、交通いずれも「政策の基本は決まってきており、すべて実施段階」であり、「議論や活字の世界から実際の姿にしていく」ことが課題であるとの考えだ。

 航空分野では、首都圏空港の発着枠拡大に向けて施策の具体化に着手する。成田と羽田の発着枠については、現状で合計75万回までの増枠が実現しているが、「このままで日本の首都圏が世界に対する競争力を持ちながらやっていけるのか。2020年のオリンピックもあり、航空の容量の限界が首都圏の成長の限界になりはしないかという危惧」があるところ。

 そのため、交通政策審議会航空分科会基本政策部会の首都圏空港機能強化技術検討小委員会が技術的検討を実施。その結果として、成田は既存施設の有効活用や改善など、羽田は飛行経路の変更などにより、それぞれ年間約4万回、1日約50便の増枠が可能とする中間とりまとめを発表した。

 本田氏の抱負はこれを受けたもの。「航空局が一方的にやるような話ではない」とした上で、地元の自治体や航空会社の意見を聞いて具体化の道筋をつけていきたい」と語った。

 このほか、日系航空会社の成長についても、「空港制約などつまらない規制を残しておくといったことは止めて、成長できる環境を作らなければならない」とコメント。安全性は十分に確保した上で、競争力を高める必要性を指摘した。

 一方、観光分野では、2020年の訪日外客数2000万人に向けて「より科学的、実務的なシステムとして観光行政をしていく必要がある」との考え。東京オリンピック・パラリンピックも契機とし、マーケティング力を強化することで、海外の消費者が日本に望む物事や日本の魅力などを客観的に確認、整理した上でのプロモーションや受入環境の整備に取り組んでいく。

 また、その際に「心しなければならない」こととして、オリンピック・パラリンピック開催や訪日旅行市場拡大の効果を首都圏に集中させず、2015年以降に予定される北陸新幹線の金沢延伸や北海道新幹線の開業なども活用して「全国が潤っていく方向」をめざす。

 加えて、訪日旅行と旅行会社との関係についても「今方向性を示すことはできない」としつつ、「1000万人という次元と2000万人の次元は違う。2000万人になった時に世界が日本をどう考えるかと、今どう考えられているかは違う」と予測。その上で、「行程の安全などをちゃんと業界が提供できるかについての期待も違ってくるだろう」と語り、その際には「一定の規制、ルール」が必要になると語った。