地方航空路線、航空会社と地域がともに育成を-国政研シンポ
LCCなどによる需要喚起に期待
双方向交流で路線の維持を
国土交通省のシンクタンクである国土交通政策研究所(国政研)は6月20日、都内で「国土交通政策研究所・シンポジウム」を開催し、地方航空路線を活用した今後の地域活性化について、有識者らがプレゼンテーションやパネルディスカッションをおこなった。このうち産官学の代表が参加したパネルディスカッションでは、LCCによる新規需要の創出や、リージョナル・ジェットによる地方路線拡充などの観点から、今後の航空業界においてどのような取り組みが必要となるのかについて、議論がなされた。
フジドリーム、地方路線の難しさ説明
静岡空港と名古屋空港を拠点とする地域航空会社のフジドリームエアラインズ(JH)で、代表取締役副会長を務める内山拓郎氏は、地域間航空路線の開設と運営の難しさについて説明。新規路線開設を検討する際には、年間利用者3万5000人の達成の可否、鉄道や高速バスなども含めた競合の有無、航空便の必要性などについて入念な検討をおこなっているものの、需要の予測は難しく、これまでに静岡/小松線など複数の路線が運休に追い込まれたことについて述べた。
地方航空路線による地域への経済効果については、「どの程度あるかは分からない」としたものの、「地域間の交流については増えている」と説明。5年間で13路線46便にまで拡大したJHの路線については、「大手が撤退した路線が多いが、地方にとっては非常に重要な路線であることを認識させられている。何としても維持することが使命」と強調した。地域航空会社が現在直面している課題については、燃料費および燃料税の高さなどを挙げ、「100席以下の飛行機についてはもう少し色々なものを軽減しては」と理解を求めた。