南ア、民主化20周年で観光客3倍に-日本市場好調、チャーター活用で新商品を
2014年5月10日から3日間にわたり、南アフリカのダーバンでアフリカ最大のトラベルトレードショー「INDABA(インダバ)2014」が開催された。今回のインダバは前年から11ヶ国増え、過去最高となるアフリカ24ヶ国が出展。セラーは1198社、バイヤーは2138人が参加し、活発な意見交換がおこなわれた。また、シンポジウムも開催され、南アフリカ民主化後20年間の振り返りや、南アフリカ観光局(SAT)の今後の政策などが示された。
民主化20周年で海外からの訪問者数は960万人に
マンデラ元大統領をフックに更なる拡大を
民主化から20周年を迎えた今年のインダバは、南アフリカの観光業にとっても節目となった。南アフリカ観光大臣のマルティナス・ファン・スカウクフェイク氏は、オープニングセレモニーで「1994年には海外からの訪問者は360万人だったが、20年間で1500万人となった。そのうち960万人が観光客で、過去最高を達成した」と20年間の成果を述べた。このほか、成長戦略のひとつであるビジネストラベルも好調で、当初の2016年までのビジネス客30万人という目標を2014年に達成する見込みという。
同氏によると、20年前は観光局や国際会議場、トレードショーなど海外にアプローチする仕組みがなかったが、現在は仕組みも整っており、8100万ランドだった観光関連予算も現在は年間16億ランドと増加。観光業による直接雇用は3倍になったという。スカウクフェイク氏は「次の20年に向け、南アフリカの観光業は安定成長期に入った」と自信を見せた。
また、観光副大臣のトコジレ・カーサ氏は「民主化によって南アフリカは観光の目的地になれた。2010年のFIFAワールドカップ(W杯)でインフラの充実を世界に示し、アフリカ大陸への入り口となる機会を得た」と評価した。
しかし、南アフリカがアフリカのプラットフォームとなるにはアフリカ間の移動の問題がある。これに対し、カーサ氏は「アフリカ連合(AU)ではeパスポートの導入やビザ手続き簡素化など、各国間の移動の簡素化促進に向けた首脳間の話し合いをおこなっており、これが観光業にも利益をもたらす」と期待を示した。また、南アフリカ観光局(SAT)のCEOであるチュラニ・ンジマ氏は「eビザ導入も検討しており、短期的には従来の方法とeビザを同時進行させていく。さらにeパスポートとその読み取りを導入する」と今後の方針を説明した。
また、南アフリカでは、アイコンと位置づけるネルソン・マンデラ元大統領の関連施設の世界遺産登録をめざしているところ。SATでは3月にマンデラ氏ゆかりの地を記した観光ガイドマップ「Madiba Inspired Tourist Attractions」を発表しているが、今後も、出生地や墓などゆかりの地を加えていく方針だ。「南アの9つの州がそれぞれ『マディバマップ』を作ることで観光客が複数の州に訪れる機会を作り、各州はその周辺のインフラを開発することで雇用創出につながる」とカーサ氏は期待を示した。