アクセスランキング、1位はタイ情勢異常なし-国内・訪日強化します

[総評] 今週は、タイで発生しているクーデターの旅行への影響についてお伝えした記事が1位になりました。先週2位も戒厳令についての記事で、喜ばしくない情報が注目を集めてしまっている状況は残念でなりません。

 幸い、旅行への影響は今のところ限定的で、旅行会社や航空会社も大仰な対応はしていません。おそらく業界、消費者ともに耐性ができているのではないかと思われます。ただ、先週の当欄でも触れた通り、こうした状況が常態化することの異常性は忘れないほうが良いでしょう。

 また、今週2位にはi.JTBの経営戦略が入っています。インターネットがここまで浸透し社会を変革する中、旅行の流通にも大きな変化が起きているわけですが、旅行業界全体では圧倒的な最大手であるジェイティービー(JTB)グループの存在感と「挑戦」という言葉のギャップはまさにその変化を象徴しているように感じます。

 個人的には、Googleがベータ版だった1990年代後半から使い込んでいるそれなりのアーリーアダプターながら先見の明は全くなく、少しでもビジネスセンスがあればもしかしたら「挑戦」される側になっていたのに、とほぞを噛んでいますが、振り返ってみるとたったの15年程度でこうもドラスティックに世界は変わるのかと驚くばかりです。

 4位の記事は、観光庁が取りまとめた主要旅行会社57社の2013年度の旅行取扱概況について書いたものですが、国内旅行の分野では楽天トラベルが業界2位の座を視野に入れており、またi.JTBの伸び率も高く、今後もオンライン流通の拡大は続いていくものと予想されます。

 ただ、これに対してi.JTBの記事で掲載したJTB代表取締役社長の田川博己氏のご発言も興味深く感じます。つまり、宿泊プランをウェブサイトで購入した人よりも、JTBの店舗で買った人の方が宿泊施設内での消費額が大きいというもので、具体的なデータはお示しいただけませんでしたが、今後は「そういう数字を正確に出していきたい」とのことです。

 今後の旅行業界がどのような変遷をたどるかは分かりませんが、オンラインでの活動が傍流になる可能性は到底考えられません。店舗など「リアル」の役目がなくなることもないとは思うものの、何もしなければ数が減ることは間違いないでしょう。

 何かをするといって、結局のところ明確な答えがあるわけではありませんが、「0」と「1」で置き換えられない部分、例えばホスピタリティなどでの勝負だけでなく、田川氏のご指摘のように流通手段そのもの以外での差別化についても可能性があるのではないかと感じています。

 なお、トラベルビジョンでは6月2日から、ウェブサイト上での記事の表示方法を変更し、「海外旅行」と「国内・訪日旅行」を分けてご覧いただけるようにします。

 旅行業界全体で特に訪日分野への期待が高まり、実際の動きも活発する中で、トラベルビジョンとしても読者の皆様により幅広い情報をお届けしたいと考えており、今後も海外分野は変わらず重視しつつ、国内・訪日関連の記事を拡充していく方針です。

 記事の書き方、掲載の仕方などあらゆる部分に工夫をし、今以上に皆様の利益に貢献できる媒体をめざしてまいりますので、今後ともご愛顧賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。また、ご意見ご要望などございましたら、是非お問い合わせフォーム(リンク)よりお寄せいただければ幸甚です。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年5月第5週:5月25日0時~5月30日19時)
第1位
タイ、クーデターも旅行は平常通り、一部で取消料免除も(14/05/25)
タイ観光庁総裁、政変「観光全てに影響ない」-外出禁止令の緩和も(14/05/28)

第2位
i.JTB、楽天やじゃらんに「挑戦」、2020年に4000億円めざす(14/05/27)

第3位
トランスアジア、西日本支店開設、日本発強化-LCC設立も(14/05/26)

第4位
主要57社、13年度の取扱額3.7%増、海外減も外国人・国内好調(14/05/25)

第5位
日本航空、「JAL SKY NEXT」の運航開始、羽田/福岡線皮切りに(14/05/27)

第6位
日本航空、業務企画職のキャリア採用募集開始(14/05/27)

第7位
春秋航空、関空拠点化へ-7月に武漢、天津、重慶線開設、上海線増便も(14/05/28)

第8位
ルフトハンザ、プレエコは12月導入、日本線は15年1月から(14/05/25)

第9位
ホテル販売のIT活用、多様な販路の組み合わせを-WIT Japan(14/05/27)

第10位
ドイツ、日独間路線拡大に期待、新たな切り口の商品造成を-GTM2014(14/05/29)