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「距離感」こそ価値- ひがし北海道の挑戦

 Far East-。広大な北海道の中でも遠い道東の「距離感」を価値として売り出すプロモーションに、ひがし北海道観光事業開発協議会が取り組んでいる。遠いからこそ到着先で出会うおもてなしや食、体験の価値を前面に打ち出す。大量輸送を前提としたマスツーリズム下で陥っていた安・遠・短と一線を画し、高付加価値化によるひがし北海道ブランドの再構築を図る。

 ひがし北海道観光事業開発協議会が札幌、東京で開いた説明会では北海道の広さを改めて強調した。2016年春に新幹線が延伸する函館。だが、函館から道東は遠い。北海道の地図を本州に重ねてみるとその距離が実感できる。函館はちょうど和歌山県・白浜温泉あたり。そうすると、知床半島のつけね斜里町は群馬県前橋市になる。新千歳空港にしても滋賀県栗東市あたり。

 同協議会の野竹鉄蔵事務局長は「遠距離だから旅行代金が高いのは当たり前です。だけど、これまでは遠いことを負としてダンピング、叩き売りをしてしまっていた。遠いからこそ、あえて行きたい価値を旅行会社の企画力に委ねたい。そのための素材を地元で用意しました」と語る。

 具体的には層雲峡から網走、知床、阿寒、釧路をエリアごとに走る周遊バス、路線バスのフリー乗車券など2次交通を充実。雲海や流氷など道東の圧倒的な景観を「感動の瞬間(とき)」としてブランディング。そして、地域ごとに「おもてなし朝食」(知床など)、「雲海/星紀行」(川湯温泉)、「3大夕日まちめぐり案内散歩」(釧路)、「ナイトバルーン」(十勝)など着地型プランをそろえた。

 野竹さんは「かつてはイベントによる付加価値に頼ってきました。これからは、道東ならではの自然と人の間をつなぐホスピタリティにこそ価値を創出したい。アイヌ語でこんにちはを意味する『イランカラプテ』で、各地からおもてなしを提供します」。この秋には海も空も大地も黄金色に輝く「秋こそゴールデンウイーク」と銘打ち、旅行会社とのBtoBにまずは注力する。 (続)

 

情報提供:トラベルニュース社