JATA、訪日2000万人に向け提言-地域分散などに助成要望

  • 2014年5月14日

 日本旅行業協会(JATA)は4月30日、観光庁に対し「訪日外国人旅行者2000万人達成に向けた提言書」を提出した。訪日外国人の受入環境について、旅行需要の地域への分散化や、ホテルの客室数や通訳案内士などの不足、CIQ体制の充実など、旅行業界が抱える主要な課題や対策の方向性、施策検討項目をまとめたもの。今年6月に政府が改訂版を策定する「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」への反映をめざす。

 観光庁では現在アクションプログラム改定に向けて調整を進めており、今回の提言内容についても検討を進めているところ。5月14日に開催した定例会見で、JATA事務局長の越智良典氏は今回の提言書について「かなり細かい部分にまで踏み込んで提言した。バランスのとれた非常に立派な提言だと受け止めていただいた」と手応えを示した。

 提言書では、主要な課題とその対策の方向性として「インフラ整備の目標設定」「段階的目標設定による優先順位の明確化」「旅行需要の地域への分散」「人材投資の促進」「バランスへの留意」「グランドデザインの策定」の6つを列挙。このうち「インフラ整備の目標設定」では、2000万人の受け入れを可能とする交通機関や宿泊施設、通訳案内士などの基本的インフラのキャパシティを検証し、需給ギャップを補う「拡充施策」と、短期間での対応が困難な事象に対する「代替施策」を明示する必要があるとした。

 「段階的目標設定による優先順位の明確化」では、アクションプログラムの実現性を高めるため、2020年に限らず、2年後や4年後といった短期的に達成すべき内容を提示し、取組事項の優先順位を明確にすることを提言。「旅行需要の地域への分散」では、需要が大都市に集中することを2000万人達成のボトルネックと捉え、地域へ需要を分散させるための実効性のある施策を講じる必要性を指摘した。旅行者のニーズの多様化への対応や、外国人旅行者の受け入れにより地域の経済効果などを最大化するビジョンを示す必要があるとした。

 そのほか「人材投資の促進」では、外国人の人材開発を含む、より高度で継続的な人材投資を民間から引き出す施策を導入する必要性を説いた。「バランスへの留意」では量的目標と質的側面、FITとグループ顧客、大都市と地域訪問などについて、双方を偏りなく強化することを要望したほか、ツーウェイ・ツーリズムの視点も必要になるとした。「グランドデザインの策定」では、官民の関係者が連携を進める基準に役立てるべく、目標達成で実現する観光立国の姿をグランドデザインとして明確に示すべきとした。

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