豪商談会「ATE」開幕、食とワインで誘客強化へ
(ケアンズ発:松本裕一) クイーンズランド州のケアンズで5月12日、オーストラリアへの旅行に特化した旅行商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)2014」が開幕した。各州の州都以外で開催されるのはATEの35年の歴史で初めて。全体ではセラーが日本からの40名を含め38ヶ国から600人、セラーが429社の1200名、メディアも70名が参加。12日と13日の2日間で延べ約5万件の商談がおこなわれる予定だ。
2013年にオーストラリアを訪れた外国人旅行者の数は、日本からは前年比7.1%減の35万3900人と減少したものの全体は3.8%増の638万人と前年を上回った。特に東南アジアでマレーシアやシンガポール、フィリピンが2桁の伸びを示したほか、中国、香港、台湾も同様に好調だ。
初日の記者会見でオーストラリア政府貿易投資大臣のアンドリュー・ロブ氏は、観光素材の品質向上や規制緩和、継続的なマーケティングキャンペーンの展開、インフラ整備などにより更なる成長をめざすと強調。
例えば規制緩和では、新興国へのビザ緩和などを実施してきており、今後も引き続き検討していくという。また、インフラ整備では2020年までの需要を考慮すると宿泊施設の客室数が2万室不足することから、海外からの投資を含めて積極的な施策をおこなう考えだ。
そしてマーケティングキャンペーンでは、2010年から実施している「There’s Nothing Like Australia」キャンペーンを深化し、「レストラン・オーストラリア」を計画。1000万豪ドルを投じてオーストラリアの食やワインの体験に焦点を当てるもので、ピーアール用の動画を作成。日本を含む主要市場でオンライン、テレビ、映画などによる情報発信をおこなう。
すでにTAウェブサイト内で専用ページを作成し、オーストラリア内の飲食関連企業が自社の商材、サービスなどをアピールできるようにしており、開設から1週間弱で700社からの情報が集まっているところ。今後もメディアの招聘などにより露出を強化していく。
なお、初日はこのほかTAとヴァージン・オーストラリア(DJ)の提携強化も発表。TAとDJは2010年に3ヵ年の提携を開始し、2013年までは200豪ドルずつ、合計400万豪ドルを拠出して海外からの旅行者増に取り組んできていたが、2014年はこれを倍増し800万豪ドルとする。主に米国とニュージーランドの市場をターゲットとして活動を強化するという。