女性独自の視点で業界発展へ、環境整備の課題も-JATA経営フォーラム
安倍政権は2013年4月に発表した成長戦略で、女性の力の活用や社会参画の促進が日本を成長軌道に乗せる原動力とし、全分野の指導的地位の3割以上が女性になる社会をめざすという目標を設けた。社会的に女性の力の更なる活用が求められる中、JATA経営フォーラム分科会Dでは「『女子力』で新たな価値創造を!」をテーマにパネルディスカッションを実施。旅行市場での女性の重要性を踏まえ、旅行業界での女性の力の活かし方や、企業が女性を活用するための施策などについて、多様な視点から話し合いがなされた。
モデレーター
ANAセールス常務取締役 伊豆芳人氏
パネリスト
スターツ出版代表取締役社長 菊地修一氏
白坂企画(「銀座なでしこ会」代表) 白坂亜紀氏
楽天ANAトラベルオンライン代表取締役社長 種家純氏
日本旅行 営業企画部本部海外旅行事業部マーケティングチームマネージャー 七海聡子氏
旅行決定の鍵は女性
女性向け商品に女性社員の活用を
分科会Dでは、まずは日本旅行の七海聡子氏が登壇し、旅行市場における女性の位置づけと、女性ならではの視点を活かした商品造成の例を紹介した。七海氏は、消費行動の中心は女性であり「ハネムーンや家族旅行でも最終決定権は女性にある」と、旅行市場での女性の重要性を強調した。
日本旅行では重点顧客層に「女性」を掲げ、さまざまな取り組みを続けているところ。2010年からは女性のプロジェクトチームが造成する女性向け商品「トラベラー」シリーズを販売中だ。
七海氏は2010年に発表した「週末トラベラー」を例に同社の取り組みを説明。商品造成のために旅行市場を分析したところ、2010年は2005年と比較して35歳から44歳の女性層が旅行者の実数、シェアともに伸長しているという結果が出た。
これを踏まえ、週末トラベラーの具体的なターゲットとして、37歳の働くOLで流行に敏感、忙しいため旅行の情報が調べられないなどの条件をもった女性を設定。35歳から44歳の年代の女性を集めたプロジェクトチームを結成してツアーを造成した。七海氏は同世代の目線で商品を造成したことで「プロジェクトチームの女性たちがやりたいことがそのまま商品に活かすことができ、マッチングの作業ができた。時間の短縮にもなり効果的だった」と振り返り、「サービス提供側が女性自身ということそのものが力になるのではないか」と示唆した。