選ばれる地域に 関西地域振興財団・インバウンドセミナー(2) 「行かねばならない必然性」
第2部はスイス・ツェルマット観光局で日本語インフォメーションセンター「JTIC・SWISS」代表を務め、観光カリスマの山田桂一郎さんが、自身の経験とインバウンド先進国スイスの例から日本の各地域が取り組むべき観光の方法論を語った。
ライフスタイルで「異日常」体験
国際競争力、観光競争力、技術革新力のいずれもが世界1位のスイスへは外国人客の90%がクチコミで訪れ、圧倒的にリピーターが多い。日本が目指すスタイルをすでに手に入れている秘けつを山田さんは「行かねばならない必然性があります。この戦略がスイスはうまい」。日本側がこういう考えを持って戦略を考えるべきと提言する。
例えば顧客管理。ツェルマットではスキーパスを販売し顧客情報を取得、何度も来るとランクが上がるシステムを導入している。対して日本は何回来ても一見さん。リピーターを生み出す仕組みが乏しい。
また、スイス観光局が打ち出す魅力は「ライフスタイル」。スイスが持つ生活文化の豊かさに触れ「異日常」を体験してもらう。それが「住みたい」気持ちを生み、飽きられず何度も来るようになる。ライフスタイルへの憧れという強力な武器を有しているのだ。
山田さんは「『なにもない』『当たり前』と地元の人はよく言うが旅行者はそう思っていません。おれたちの住むまちが一番だ、と思っていないとだめ」と説く。
さらに「今は『心の豊かさ』を実感できる観光の時代。おもてなしの心と商品の高質さで豊かさを提供し、元気に帰ってもらいましょう」と呼びかけ、ブランディングやスイスにおける品質強化システムを紹介した。
情報提供:トラベルニュース社