現地レポート:西豪州、ワイルドフラワーとワインで誘うマーガレットリバー
パースから南へ、ワイルドフラワーでデスティネーション拡大
エコからラグジュアリーまでテーマに富んだ企画が可能
エコからラグジャリーまで施設も多様
パース周辺観光もユニークさがアップ
肝心の宿泊施設だが、マーガレットリバー地域周辺にはインターナショナルチェーンのホテルから個人経営のリゾート、さらにはエコロッジなど、多様な施設が揃う。例えばナチュラリステ岬に近いダンズボローには、アコーホテルズのプルマンリゾート・バンカーベイがあり、ケープ・トゥ・ケープ・トレックへのアクセスに便利。ビーチを有する敷地内からは周辺海域を回遊するクジラも見られた。
このほか、個人経営のアビービーチリゾート、国立公園に隣接するエコロッジのカリバリーリゾート、コンデナストトラベラーのゴールドリストにも載る5ツ星のスモールラグジュアリーホテル、ケープロッジもあり、客層や目的、テーマに合わせた宿泊施設を選ぶことができる。ワインとともにゆっくりディナーを楽しみ、翌朝は森林や海岸線でのトレッキングを楽しむ。滞在するからこそ享受できる魅力もたくさんある。パースと周辺素材の質を考慮すれば、インセンティブも十分に考えられるだろう。
拠点のパースも変化している。街の再開発が実施されているところだが、現地オペレーター、WAコーディネーションによると、建て替えではなく、昔からの建物を利用した形でおこなわれているという。例えばスワンリバー沿いのスワンビール工場跡は現在、カフェやレストランなどの飲食店となっているほか、研修旅行中の夕食会場となった「トラスティ・バー&ビストロ」の入居するビルは、州の旧管財局を改築したもので、周辺はシックな雰囲気だ。
パースでは近郊のロットネスト島、フリーマントルなど、マーガレットリバーとは異なる魅力の観光地がある。今回訪れた時期はちょうどロットネスト島の固有種、ロットネストデイジーがシーズンで、淡い紫色の花を見せてくれた。国のA級自然保護地区に指定された島内では、マウンテンバイクで巡ったり、ビーチでゆったり過ごしたりと、固有の自然と調和しながらレジャーを楽しむ人々の姿が印象的だった。そんな心の豊かさを、目に見えない西オーストラリアの魅力と捉える人もいるだろう。
オーストラリアの商品ではランドフィー上昇による商品価格の値上がりが、集客に影響しているという話も聞く。しかし、その値上がりに足る価値向上がおこなわれているのも、西オーストラリアの特徴だ。まずは旅行業界がその価値と向き合い、顧客に合ったテーマを見出して、自信をもってその値打ちを伝えてほしい。
取材:山田紀子