11月の旅行業倒産件数は4件-宿泊業は8件
東京商工リサーチ(TSR)によると、2013年11月の旅行業の倒産件数は前年から1件増の4件だった。負債総額は421%増の3億6000万円(前年:6900万円)。1社あたりの平均倒産総額は9000万円。4件のうち、東京都の会社は2件、大阪府は1件、愛知県は1件。東日本震災関連の倒産件数は0件だった。
負債総額が最も大きかったのは東京都の第3種旅行業のジャコアンドワールドで、1億5000万円。同社は大阪市、ロサンゼルス、ソウルに支店を設置し、韓国旅行を主体に旅行業を展開。1998年3月期には売上高約4億円を計上したが、景気の低迷による旅行客の減少から業績不振が続き、有力社員が独立したことで大口顧客が脱落。2013年3月期は売上高が約5000万円まで減少し、業績回復の見通しが立たないことから事業継続を断念した。
TSRによると、アベノミクス効果もあり旅行需要は回復しつつあり、大手業者は業績を伸ばしているが、中小零細企業は依然として業績の回復に至らない企業も多く、業績回復の見通しが立たない企業からの破たんが散見されるという。
宿泊業の倒産件数は前年から3件増の8件。負債総額は79.6%増の37億700万円(前年:20億6400万円)だった。東日本震災関連倒産は1件。地方の小さな旅館を中心に破産がおきているという。
負債総額が最も大きかったのは「ホテル西洋銀座」の運営をおこなってきた東京都のエイチ・エス・ジーで、負債総額は19億2400万円。ホテル西洋銀座は旧セゾングループの西洋環境開発が過去に経営していたが、セゾングループがバブル期の大規模リゾート開発などの過大投資で行き詰まり、西洋環境開発が撤退した以後は土地建物の所有者である東京テアトルに経営権が移行。東京テアトルの100%連結子会社であるエイチ・エス・ジーがホテル運営をおこなってきたが、引き継ぎ後も業績悪化が続き、2013年5月末日で営業は終了。10月末日に株主総会の決議で解散していた。