単品販売と手配旅行のあり方議論、法規制見直しで-旅行産業研究会
観光庁は11月12日、第3回旅行産業研究会を開催した。観光庁観光産業課長の石原大氏によると、今回は第2回で日本旅行業協会(JATA)から問題提起された、手配旅行の自由な値付けに関して議論がなされた。
第2回会合でJATAは、日本の旅行会社がオンライントラベルエージェント(OTA)と競争する中で、日本の旅行会社には手配旅行の制約があるため自由に値付けができず競争条件が一定でないと問題を提起。手配旅行でも自由に値付けできるようにするべきではとしていた。これを踏まえ、今回は手配旅行とは何か、旅行業法の意義とは何かを考慮して議論を実施したという。
手配旅行については、値付けを自由化する場合、法文記述上のテクニカルな課題として受注型募集旅行との違いをどうあらわすかなど、表現が難しいとの指摘が出された。こうした状況から、現在の募集型企画旅行の範疇に手配旅行を入れる方法が意見としてあがった。
現在も自由に値付けをするため、募集型企画旅行としてホテル単品の予約を扱うケースはある。この場合、旅程保証や特別保証、取消料などが義務づけられるが、宿泊や航空券単品の手配の場合は実態にそぐわない場合も多い。このため、研究会では「(手配旅行を)募集型企画旅行の範疇で取り扱い、ひとつの解決策として、手配の範疇になっていないようなものについては消費者保護の規定を少し合理化し、少し今の手配に近づけ自由に値付けできる、というやり方」(石原氏)が提案されたという。
その一方、宿泊や航空券単品の販売を素材と捉え、旅行業法の範疇から除外してもよいのではとの意見も出された。石原氏によると、旅行会社の事業の本質である「商品を仕入れて組み合わせるという企画性」という観点で見ると、ホテルや航空券の手配は旅行素材をひとつのモノのように扱っており、海外のOTAも同様に販売している。石原氏は「こうした流れは今後増えていくことを考えれば、いっそ規制から外してはとの意見もあった」と語った。
ただし、業法の適用外にするのであれば、旅行会社以外の会社が旅行会社を装って販売することも考えられ、消費者保護の観点からは「あまりにも乱暴ではないか」との反論があった。また、消費者保護の観点からは、規制をゆるめるだけではなく、ウェブサイトの表示方法などのルールについて、何らかの形で制定するべきではとの声もあがったという。
石原氏は研究会について、「観光庁でどういう規制があるべきかを考えるための視点や見方、考え方を提示していただきたい。そういう意味では幅広い議論ができた」と評価。今後は11月末と12月中旬に研究会を開催し、まだ研究会で深堀りできていない、取消料や旅程保証などに関する議論、旅行業の安全マネジメント、特区などでの着地型商品の造成と販売を求める声を踏まえた第3種や地域限定旅行業の業務範囲などについて議論を進めていく。年明けの研究会で論点をさらに整理し、14年度中に取りまとめをおこなう計画だ。