アクセスランキング、1位は悪質業者-KNT-CT上半期決算も

[総評] 今週の1位は、愛媛県の第1種旅行会社であるフジ・トラベル・サービスの社名を騙り、群馬県高崎市で海外ツアーの募集をした会社の記事が1位になりました。観光庁長官を官公庁長官と誤記したり、あるいは申込方法でインターネットを利用せず電話のみとしたりと、詐欺が目的としては稚拙と感じられる点が多く不可解な事件です。

 ワキサカと名乗った男性が広告費用を前払いで支払ってまで何をしたかったのか不明ですが、チラシを木曜日と金曜日に配布したことも、それからの電話での問い合わせ対応や契約、入金を考えますと、捕まらずにより多くの旅行代金を詐取するには土、日曜日を挟むのは得策ではありませんし、「官公庁」の表記といい、騙される人が少なくなるような配慮があったのではないかとすら思われます。

 とはいえ、社名を勝手に使われたフジ・トラベル・サービスからすれば甚だ迷惑でしょう。現時点で被害が出ていなさそうなのが救いで、もしかすると高崎あるいは関東での認知度は高まったかもしれませんが、同社は地元に密着した営業をされているはずですので、不幸中の幸いともいえない程度かもしれません。

 難しいのは、こうしたことをする会社あるいは人への戒めです。法律上、観光庁は旅行会社として登録されていなければ直接手を出すことはできないため、警察に捜査や対応を依頼するしかなく、その後は警察側の判断に委ねられます。観光庁によると、今回の件でも振込を防止する措置などを求めたそうですが、被害が出ていなければ動けないとのスタンスであったそうです。

 旅行業界で働く身としては、法を無視して旅行事業をおこなう無登録業者や、今回のような詐欺行為が野放しになってしまう可能性があることに憤りを覚えますが、これはいたしかたないことなのでしょうか。国を挙げて観光立国をめざすのであれば、こうした事態もきちんと対応できる体制が求められるのではないのかと思われてなりません。

 今週はこのほか、KNT-CTホールディングスの上半期決算の記事も7位にランクインしましたが、業績は残念ながら当初の予想を大きく下回るものでした。近距離アジアの低迷や円安の影響を受けているそうで、これについては同社だけでなく多くの旅行会社が直面している課題でしょう。

 また、旧近畿日本ツーリスト(KNT)時代に手が回らなかった社員教育に力を注ぎ、価格競争型商品から価値競争型商品に変革しようとしていることも一因です。個人的には、こうした変化への取り組みが一時的に成果を伴わなかったとしても、確実に次に繋がっていくものではないかと思います。

 関わっておられる方は、「付加価値の高い商品を作るのはいいが、代金が高くなって実際に売れるのか」など様々な不安、苦悩を感じていらっしゃるかと思いますが、産みの苦しみと我慢し、前に進んでいっていただきたいと願っています。

 なお、来週は夏期休刊期間としてメールニュースの配信とウェブサイトの更新を原則お休みさせていただきます。ただし、事務所は通常通り稼働し、重要なニュースが発生した場合には適宜対応してまいりますのでご理解をいただければ幸いです。

 不安定な天候に悩まされたと思えば今度は猛暑が続き、心身への負担が大きい時期ですので、皆様どうぞご自愛ください。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年8月第2週:8月4日0時~8月9日15時30分)
第1位
観光庁、悪質業者の情報公開、フジ・トラベルの社名騙る(13/08/05)

第2位
ビッグツアーが破産開始決定、パーフェクトアイズと負債6.6億円(13/08/06)

第3位
JAL・ANA、夏予約率89.4%、北米行き2ケタ増-LCCはピーチ好調(13/08/05)

第4位
トランスアジア航空、成田線開設、9月26日から-ロードファクター75%目標(13/08/07)

第5位
東京マリオット、開業は12月3日、総支配人も決定(13/08/06)

第6位
HIS、東日本地区の組織改編-商品造成を方面別に、WEB事業部新設(13/08/05)

第7位
KNT-CT、上半期の売上高46%増、クラツー統合効果(13/08/08)

第8位
キャセイ、新ファーストクラス発表-B777-300ERに導入(13/08/06)

第9位
楽天トラベル、第2Q取扱高は14.7%増-営利は3.9%減、投資強化で(13/08/04)

第10位
JTB、ブラジルに合弁会社、18年に1000億円超めざす(13/08/04)