全日空、第1四半期は営業赤字56億円、円安とB787など影響
全日空(NH)の2014年3月期第1四半期(2013年4月1日~6月30日)の決算で、売上高は前年比4.4%増の3583億円となったものの、営業費用が9.6%増の3639億円となり、営業損益は56億円の赤字(前期、以下同:110億円の黒字)となった。経常損益は112億円の赤字(46億円の黒字)、当期純損益は66億円の赤字(6億円の黒字)。
NH専務取締役執行役員の殿元清司氏によると、コスト構造改革や管理可能コストの圧縮に努めたものの、円安で40億円の減益となったほか、路線便数や座席の増加にともなう費用増、機材の減価償却の見直しなども影響した。また、ボーイングB787型機の運航停止でも50億円の減益となった。
航空事業(※)は売上高が4.3%増の3123億円となったものの、営業損益は65億円の赤字(90億円の黒字)。国際線は、欧米線で需要が堅調に推移したものの、中国線でレジャー需要の低迷が続き旅客数が9.8%減の143万6000人に。ただし、単価が上昇して旅客収入は7.5%増の895億円となった。座席供給量は8.2%増、旅客輸送量は2.1%増、利用率は4.2ポイント減の71.0%であった。
国内線では逆に、旅客数が2.0%増の969万人となったものの、旅客収入は1.3%減の1473億円と減少。レジャー需要の増加などにより単価が下落したためという。座席供給量は4.6%増、旅客輸送量は2.4%増で利用率は1.2ポイント減の57.0%となった。
航空以外の事業のうち、旅行事業は売上高が4.6%増の363億円、営業損益は6億円の黒字(8億円の黒字)。海外旅行では中国や韓国への需要は前年を割り込んだが、新商品ブランド「ANAワンダーアース」が好調に推移。国内旅行では東京ディズニーリゾートやスカイツリーが注目された関東や新石垣空港が開港した沖縄が好調に推移。訪日も順調であった。
なお、通期目標として掲げた売上高1兆6100億円、営業利益1100億円、経常利益800億円、当期純利益450億円は変更しない。殿元氏によると、もともと第1四半期はB787型機の運航停止もあって営業赤字を見込んでいたため計画比では60億円の減益に留まっているといい、残り9か月は国際線、国内線ともに需要が「強含み」(殿元氏)で推移するとの予想で、目標達成は可能との考えだ。
※昨年度まで「航空事業」に空港地上支援業務などの「航空関連事業」を含めていたが、今年度から別に区分