トルコのデモ、一部ツアーに影響-旅程変更も

  • 2013年6月10日

 トルコのイスタンブールやアンカラなどで発生している大規模デモの影響で、旅行会社各社では旅程の変更や、一部会社でツアーキャンセルなどの影響が出てきている。

 6月4日付で外務省が発出した注意喚起によると、5月31日にイスタンブールの新市街にあるタクシム広場などで発生したデモを発端として、アンカラ、イズミル、アンタルヤ、メルシンなどの都市で反政府デモが発生。現在もデモは続いており、特にデモの中心地のタクシム広場周辺では、現在もバリケードがはられている状態だ。こうした状況を踏まえ、同省ではイスタンブール滞在時に、イスティクラール通りを含むタクシム広場付近や、首相府施設のあるドルマバフチェ宮殿付近には近づかないようにと呼びかけている。

 ただし、観光面では、タクシム広場周辺にドルマバフチェ宮殿やイノニュスタジアムなどの観光名所はあるものの、日本人は主にトプカプ宮殿などがある旧市街を訪問しているため、影響はそれほどないという。トルコ共和国大使館・文化広報参事官室も、基本的な観光地や公共交通機関、旅行者のアクティビティには影響ないとコメント。デモは国内政治に関するものであるため、アラブの春のように他国に波及することもなく、限定的なものとの見方だ。

 大手旅行会社各社への取材では、各社とも参加者には現地の状況を説明し、自由行動時などにはタクシム広場周辺には近づかないよう呼びかけていることがわかった。対応が分かれたのは、旅行キャンセルや旅程の変更などについて。JTBとHISではキャンセルは特に入っておらず、通常通りツアーを催行しているという。JTBはタクシム広場周辺の宿泊施設は別のホテルに振り替えたほか、現地の状況に合わせて臨機応変に対応。HISは、デモの長期化にともない、メディアの報道と現地で得た情報をすり合わせ、現状を改めて確認しているとした。

 また、阪急交通社によると、キャンセルは発生しているが目立ったものではないという。ただし、7月、8月については旅行を見合わせる顧客も出てきているところ。ホテルについてはスタッフが現地視察を実施しており、安全が確認できているとした。3社とも、キャンセル料は収受する方針だ。

 日本旅行は6月2日時点でキャンセルは発生していないとしたが、外務省発出の注意喚起を受け、ドルマバフチェ宮殿を訪問するツアー3本については入場観光の取りやめを決定。これを理由にキャンセルする場合については、取消料を収受しないことを決めている。

 一方、キャンセルがあったとしたのはクラブツーリズム。テレビのニュースを見てキャンセルする旅行者がいるとし、6月3日から9日の1週間で「10、20(のキャンセル)ではない、結構な影響があった」ことから、キャンセルで催行中止となったツアーもあるという。タクシム広場周辺の観光では、代替案の提案も実施。例えばイスティクラール通り訪問だった場合は、代案としてエジプシャンバザールに案内するなど対策を実施しているとした。キャンセル料は通常通り収受するという。