トップインタビュー:エミレーツ航空日本支社長のエンゲルマン氏
-日本では中東系航空会社を含めて競争が激しくなっていますが、どのように差別化されるお考えでしょうか
エンゲルマン 30年近い歴史の中で磨き上げてきたプロダクトとサービスが最大の武器だ。我々よりも新しい航空会社は未だ模索の途上であり、逆にレガシーキャリアと呼ばれる航空会社はそこに投資をしてこなかった。EKは、明確にお客様のために投資をし続けている。
例えば日本人客室乗務員は現時点で450人を超えているが、さらに200名の追加採用を計画している。日本路線では現在、1便あたり4名ないし5名の日本人客室乗務員がサービスにあたっており、さらにニーズの高まりを受けてアフリカや欧州など主要路線でも乗務を開始した。
EKとしては、こうしたプロダクトやサービスへの認知を増やすことが一番の課題で、私も毎日頭を悩ませている。一つには、ゴルフやサッカーなどで複数のスポンサー契約をしており、クリスマスイルミネーションなどもおこなっている。
-ドバイ以遠の需要取り込みが重要だと思われますが、需要構成はどのようになっているでしょうか
エンゲルマン 時期によって異なるが、ドバイへの需要が20%から40%程度でメインは以遠需要だ。また、路線ごとの特性もあり関空と成田はもちろん、成田と羽田でも違う結果になっていくだろう。
以遠は、大都市間の単純往復だけであれば勝負をするのは難しいが、マンチェスター、リヨンなどのセカンダリーシティであれば、国際線から国際線への乗継であることもあり利便性は高い。
業務渡航とレジャーの違いで見ると、業務渡航ではアフリカの人気が最も高い。インフラ関連のプロジェクトなどが活発なのではないか。また、イラクなど中東圏を訪れるお客様も多い。
レジャーについては、成田、関空ともに欧州が人気だ。また、マルタやイスタンブールなど地中海地域への路線も強い。以前はエジプトやチュニジアの人気も高かったが、現在は政情不安で落ち込んでいる。2年前に同じ質問を聞かれていれば、カイロ、チュニジア、モロッコといった路線の需要が最も強かった。このほか、ブラジルは「VFR(Visit Friends and Relatives)」での利用が多い。労働者の移動需要もある。
ただ、ドバイ自体の認知向上にも取り組んでおり、ラグジュアリーリゾートや高層ビル(ブルジュ・ハリファ)なども使いつつ、旅行で訪れるべき場所だと訴えている。ドバイへの旅行需要はドバイ・ショックにより減退したが、2012年は回復に転じた。経済的にも回復している。
-旅行会社との関係についてどのようにお考えでしょうか
エンゲルマン この数年間で変化してきてはいるが、EKに限らず未だに80%から90%が旅行会社経由。私としてはより多くの選択肢が欲しい。そのため、オンライン旅行会社経由の流通は強化している。今後も、お客様の選択肢を増やせるよう規制緩和には期待していきたい。
ただ、勘違いしてほしくないが、旅行会社と協力しビジネスをしていきたくないなどとはまったく思っていない。今後もともに成長していきたい。信頼のおける旅行会社で話をし、予約をしたいと望むお客様が少なからずいる。旅行会社が提供するこの価値をEKは非常に大切なものと捉えており、“彼らの成功が我々の成功”という心構えで注力していきたいと考えている。
-ありがとうございました