成田、15年度までに旅客数3700万人めざす-発着回数26万回、中計策定で
成田国際空港(NAA)は3月28日、2013年度から2015年度までのNAAグループ中期経営計画「イノベイティブNarita2015~選ばれる空港を目指して~」を発表した。NAA代表取締役社長の夏目誠氏は同日開催した記者会見で、今後羽田の国際線発着枠9万回化や、アジアの主要空港の拡張などで空港間競争がさらに激化する中、中期経営計画の策定で「オープンスカイを迎え、空港容量の拡大と航空ネットワークの更なる拡充などに取り組み、お客様から選ばれる空港となるための新しいステージの一歩を踏み出す」と意気込みを述べた。
中期経営計画では、2015年までに旅客数を2012年度見込み比で9%増の3700万人、発着回数を21%増の26万回とする目標を設定。このうち、LCCの割合として旅客数830万人、発着回数5万5000回を想定した。また、連結営業利益の目標値は2012年度見込み比で4.2%増の360億円以上をめざす。
中期経営計画では、「安全の徹底追及」「経営体力の強化」「選ばれる空港作り」を基本戦略の3本柱として決定。総額で1450億円を投資するとした。選ばれる空港づくりでは860億円の投資を実施。空港容量30万回化実現に向け、LCC専用ターミナルの整備や、ピーク時間の運用効率化を目的とした駐機場の増設、ターミナルビル施設の改良などを実施する。
また、航空ネットワークの拡充をはかり、既存の国際線中長距離ネットワークの強化に加え、4000キロメートル未満のアジア近距離路線と国内線の拡充をめざす。さらに、国際線着陸料の引き下げや増量割引、国際線バゲージ・ハンドリング・システム料金の引き下げにより、競争環境を踏まえた空港コストの低減をはかる。
さらに、入場ゲートのノンストップ化、無料WiFiの充実、空港スタッフのCS意識の更なる向上などで利便性、快適性を引き上げるとともに、地域社会への貢献として、地域との共生策や環境対策の実施、推進をおこなっていくとした。
また、経営体力の強化では40億円を投資。非航空収入の拡大をはかるため、リテール事業を強化する。来港者誘致や店舗面積の拡大に取り組み、空港内免税店や物販店、飲食店などの売上高で、2012年度見込み比の約2割増にあたる800億円をめざす。加えて、経営効率化に向けた組織の見直しや、株式上場に向けた社内体制の整備を進める。
このほか、安全の徹底追及では550億円を費やし、大規模地震対策や新型インフルエンザ対策、航空機事故などの重大事故対策を実施。危機管理体制を強化するとともに、保安体制の強化もおこなうとした。