TCSA、13年も環境整備、人材育成継続-要介護者のツアー参加対策も
日本添乗サービス協会(TCSA)は3月22日、第27回通常総会を開催し、2012年度の事業活動報告と2013年度の事業活動計画を承認した。日本添乗サービス協会会長の山田隆英氏は同日開催した会見で、1月4日にTCSAが一般社団法人化したことについて触れ「新法人として発足したが、活動内容は今までと変更ない。優秀な添乗員の育成と、添乗員の社会的地位の向上、TCSAの発展をめざし、観光業界の発展に寄与していきたい」と述べた。
13年度は引き続き、添乗環境の整備や改善、添乗員の地位向上に向けた取り組み、高齢化する添乗専門職の活用、価値ある旅行商品の創造が可能な人材の育成などに取り組んでいく。
なかでも添乗環境の整備や改善については、12年度に改定した派遣添乗員の業務ガイドライン&添乗業務対応事例集」(グリーン・ブック)の周知徹底に努めていく。すでに今年2月に旅行会社や会員などに6000冊を配布しており、13年度は会員が旅行会社に出向き、グリーン・ブックの趣旨の説明や環境改善の要望を直接働きかけていく考えだ。
また、障がい者や介護を要する高齢者など、要介護者の旅行参加の対応について、日本旅行業協会(JATA)と協力のもと、改善策を検討していく。TCSA専務理事の三橋滋子氏によると、近年認知症患者や痴呆気味の1人参加など「一見健常者だが、目に見えない部分に障がいのある人の参加が増えている」といい、こうした参加者が乗継空港で行方不明になったため飛行機に乗り遅れるなど、ツアーの遂行を妨げるケースも出てきているという。
また、介助者が高齢で参加者の介助が難しくなるケースなどもあり、他のツアー参加者に影響を与える場合もある。三橋氏は「空港時点で添乗員が参加を断れるようにしないと、参加者本人にも、グループ全体にも不幸なことになりかねない」と課題を語った。介助者がいない場合は、旅行の目的地で介助者の手配をするなどの対策をとり、介護を要する参加者が添乗員や他の参加者の負担にならないようにする必要があるとした。
TCSAでは12年度事業でJATA社会貢献委員会に対し、介助を必要とする旅行参加者の対応について、旅行申込時点での情報収集、各社のウェブサイトに掲載、メディア販売商品での確認の徹底、トラブルの実態内容の報告を要望。会員各社からトラブルの事例を収集し、旅行会社に個々に改善を要請していた。
今後は引き続きJATAなどに協力をよびかけ、トラブルを回避できるような仕組みづくりをはかる。さらに、会員会社を対象とした実態調査を開始する考えを示した。