アクセスランキング、1位はオンラインと法規制、気球事故も
[総評] 今週は、日本旅行業協会(JATA)の経営フォーラムでおこなわれたオンライン旅行会社の台頭と法規制のあり方に関する議論についての記事が1位になりました。非常に難しい問題ではありますが、議論では米国と豪州の事例を紹介しながら日本の今後の方向性を探っており、状況を整理し理解するという意味で是非一度ご覧いただきたい記事です。
今後の方向性についての部分では、海外のオンライン旅行会社を規制するよりも、日本の旅行業法や約款を見直し、規制緩和によって日本の旅行会社の競争力を引き上げるべきだという意見が多かったようです。
ルールでがんじがらめに縛りあげて製品としてのツアーやサービスが似たようなものになってしまうよりも、最低限の守らなければならない事項を遵守させ、それ以外は各社の個性が発揮できるよう柔軟性をもたせた方が、旅行会社にとっても消費者にとっても良い結果を得られるでしょう。是非ともこういった意見がさらに広まり、流れを変えていってほしいと思います。
その際、大きな課題となるのは消費者保護をどう見るかで、エジプトでの気球事故によりツアー中の責任の所在について注目が集まっており4位には観光庁の関連記事も入っているところです。
気球事故について先週の当欄で触れたところ、読者の方からご意見をお寄せいただきました。その方は、今回の痛ましい事故を企画旅行や約款のあり方を見直すきっかけにするべきとのお考えで、当初はJTBグランドツアー&サービスが免責となる可能性が報じられたことについて問題視されていました。
つまり、今回の気球事故では旅行者に選択の余地はなく、運航会社を決定した旅行会社の「選定責任」は回避できないはずというもので、「例えば(中略)複数業者を提示して、値段だけでなく、過去の事故実績や、機体、操縦者情報が開示されて比較検討出来る環境ならば別」であったかもしれないと書かれました。
今回の件については、すでにJTBグランドツアー側が特別補償の適用を明らかにしていますので状況は変わっています。しかし、確かに海外旅行は消費者と旅行会社以外に現地オペレーター、オプショナルツアー催行会社、航空会社、ホテルなど様々なプレーヤーが関わるものであり、こうした視点も法規制のあり方について考える際には間違いなく必要になるでしょう。
一方で、個人的には、一から十まで情報を用意して準備をし(ほぼ)確実に安全だといわなければ消費者は旅行に行かないのか、という点についても疑問に感じます。制度としての特別補償があり、JTBの説明によれば「無手配日以外は(オプショナルツアーであっても)適用対象」ですから、業界で共通の約束事以外は各社の戦略によって変わって良いのではないかと考えるわけです。
極端にいえば、何かがあった際に補償が受けられることは共通として、Aという旅行会社は非常に安全に気を使っていて細かく丁寧に説明をしてくれる、一方でB社はリスクへの理解は求められるけれどもより刺激的なツアーに参加できる、あるいは旅行代金が安い、といった差があっても良いように思います。
もちろん、安くて粗悪、人命を軽視するツアーなど論外ですが、よく言われる「サービスへの対価」を旅行会社が求め、それによって事業を継続していくためにも有効ではないでしょうか。
冒頭の話題に戻ってオンラインでの旅行流通が台頭した理由は、自己責任ではあるものの中身の濃い旅行ができるから、と考えることもできます。リスク管理と安全確保をすべてルールで実現しようとした結果、ツアーのコモディティ化が進んでしまうとすればば、消費者利益をも損なってしまうはずです。
海外、国内に関わらず旅行には今回の気球のようなリスクはどこまでもつきまといます。旅行者の安全確保と旅行の自由度をどのように両立するか、それも法規制のあり方を考える大きなポイントであるように思います。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年3月第2週:3月3日0時~3月8日16時)
第1位
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