北アフリカ・サヘル地域での安全対策強化を、まずは情報収集

  • 2013年3月5日

海外邦人安全協会会長の荒義尚氏  海外邦人安全協会は3月5日、北アフリカと西アフリカなどサハラ砂漠南縁部のサヘル諸国について、最近の情勢と安全対策上の留意点をテーマにセミナーを開催した。参加した一般企業と旅行会社の担当者に対して同協会会長の荒義尚氏は、今年1月のアルジェリア人質事件で「(犯人が)ターゲットから日本人を除外しなかったことが心配。イスラムの親日感が失われつつあるのでは、と悲観的に考えて対応していくほうがよい」と述べ、同地域における安全対策の必要性を改めて強調した。

 荒氏によると、3ヶ月以上滞在する在留邦人はアフリカ全域で8000人。短期のビジネスでの訪問者を含めると、3万人程度の日本人が在留しているいう。同氏は「アフリカ全土で日本進出企業は560社。今後日本人のプレゼンスはどんどん増えていくため、安全対策はより重要になっていくのでは」との考えだ。

海外邦人安全協会理事の萩隆之介氏  また、海外邦人安全協会理事の萩隆之介氏は、アラブの春以降のリスクとして、アルカイダ系イスラム過激派の活動地域の拡大、テロ訓練や武器調達での連携などテロ組織の動向、不安定で力が弱い新政権下での経済状況や治安の悪化、若者層中心の高い失業率の継続などをあげた。さらに、民主化、自由化からイスラム主義化への動きがあり、イスラム原理主義や欧米排除姿勢などの過激思想が広がっていると指摘。特に日本も欧米一派として排除の対象となる可能性があるとした。

 こうした状況を踏まえ、萩氏はテロや政情不安などケースごとに各国のリスク度を5段階で評価。テロではアルジェリア、モロッコ、モーリタニアを「高」、誘拐ではアルジェリア、マリ、ニジェールを「高」、政情・紛争ではリビア、チュニジア、ニジェール、モーリタニアを「高」としたほか、フランスの軍事介入が続くマリを「極高」に設定した。一般犯罪はアルジェリア、マリ、ニジェールで「高」となった。

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