トップインタビュー:デルタ航空日本支社長 森本大氏

日本人向けサービス大幅拡充へ
旅行会社との協業に強い意欲

DL日本支社長の森本大氏

日米間の運航便数が最も多いデルタ航空(DL)。その日本支社長に昨年5月、クラブメッド代表取締役社長などの経歴を持つ森本大氏が就任した。外国系航空会社の日本支社長を日本人が務める例は少なく、特に日本市場での存在感も大きいDLの舵を森本氏がどう取るか注目が高い。森本氏にDLの現状や今後の見通し、取り組む課題など方針を聞いた。


-就任から約9ヶ月が経過しましたが、振り返ってのご所感をお聞かせください

森本大氏(以下敬称略) かつて旅行業界にもいたので比較的に違和感なく入ることができ、すぐに取り組むべき課題も見えた。会社のカルチャーも非常に良い。また、DLがこの2年ほどかなり大きな投資をしてきており、まだそれが完全に出揃ったわけではないものの、会社の雰囲気も良好で、非常に良いタイミングで会社に入ったように思う。


-取り組むべき課題についてご説明ください

森本 DLはノースウエスト航空時代から日本市場に力を入れてきており、成田もアジアのハブと位置づけ、航空会社としてアジア、日本の市場で商売をする十分なインフラがある。

 例えば、ビジネスクラスのフルフラットシート、エコノミークラスの個人用モニターなど機内プロダクトはこの2年で投資をしてきており、路線網も太平洋路線はハワイを含めて日本全体から週120便を運航している。また、成田空港のハブとしての機能も、日系航空会社とまったく遜色ないような状態にある。定時発着率や運航率などで見ても非常に高い水準にある。

 しかし、これをより強いインフラにしていくために、あるいはお客様の支持を得るためにやるべきことはたくさんある。これまではなかなか日本人のお客様の視点で見られなかったこともあり、それが私に対する期待でもあると思う。

 DLの就任までは航空会社の細かいことはまったくわからない一般のお客様の目線で乗ってきたので、ここをこうすれば満足度が上がるだろうという感覚は、社内の中でも持っている方だと思う。日本コカ・コーラに勤めていた時は、アトランタにいつもDLで出張していた。こうした観点で優先順位を付けて取り組もうとしている。


-優先順位の上位はどのような点でしょうか

森本 まずは、プロダクトの改善や規模などの強みを日本人のお客様にどうお伝えするか。コミュニケーションの部分だ。これまでの経歴でもずっとマーケティングを担当してきており、コミュニケーションには取り組みたい。

 また、サービス面では搭乗手続きがスムーズであるとか、トラブルがあった時でも素早く対応できるとか、世界のどこのお客様でも必要なユニバーサルなサービスがある一方で、日本人のお客様が望まれるようなサービスもあり、そうした点の充実も進めていかなければならない。

 ビジネスが中心の北米の路線と、ハワイやグアム、サイパンといった路線ではお客様の望まれるものも異なるため、それぞれに合わせてきめ細かい対応を考えている最中だ。方向性としては、日本人のお客様の比率が多いリゾート路線について、日本のお客様のニーズに対応したサービスを大きく増やしたい。

 例えば飲み物や食事、機内エンターテイメントもそうで、エンターテイメントはオンデマンドで利用可能なコンテンツ数としてはたくさんあるが、中国語など他の市場を意識したものも多く、日本語だけで見ると少なくなってしまうので、この充実をはかる。他の課題についてもこういった観点で深堀りしていく。