楽天トラベル、韓国観光公社と6回目の業務協約締結-地方送客強化
楽天トラベルと韓国観光公社(KTO)は1月21日、6回目の共同業務推進協約を締結した。両社はFIT客と韓国各地への日本人観光客の集客増加をはかり、2008年に1回目の業務協約を締結。今回は韓国の地方都市への集客を強化するとともに、テーマ性のあるコンテンツやサービスの提供をおこなっていく。
同日開催した会見で、KTO東京支社長の金榮湖氏は「楽天トラベルと協力して、より多くのFIT層、日本人が韓国に訪問できるよう、最善の努力をしていきたい」と意気込みを語った。同氏によると、2012年の日本人訪問者数は過去最大の352万人で、このうち7割強がFIT、59.1%が女性だ。金氏は女性を中心にしたFIT層の増加が「訪問者数増の絶対的な背景にある」とし、インターネット経由の旅行予約が今後さらに拡大するとの見通しのなか、「FIT層に強く、ウェブ機能の拡大の2つのノウハウを持っている楽天トラベルと共同で今後も展開していきたい」とした。
今年は韓国の地方都市への集客を強化していく方針だ。金氏は以前よりは改善しつつあるものの、日本人観光客のソウルに集中する傾向は以前としてあると指摘。韓国の本来の魅力は地方にあるとし、地方都市への集客を強化するために「今年は本格的に地方観光の魅力をピーアールしていく」と強調した。
一方、楽天トラベル代表取締役社長の岡武公士氏も「釜山を中心に地方を盛り上げていきたい」と意欲を示した。同社ではKTOとの業務協約のもと、2010年から12年まで、済州島や釜山などの地方都市のアピールを強化。活動が奏功し、12年の送客人数はソウルが21%増だったのに対し、済州島は39%増、釜山は38%増、全羅北道は29%増と増加幅が拡大するなど効果があったという。
12年は竹島問題で8月以降苦戦したが、7月までの好調さが全体をカバー。韓国側の目標値をクリアしたという。今年1月は竹島問題の落ち込みから回復してきており、予約人数は前年比2ケタ増となる見込み。円安の影響についても、楽天トラベルの韓国への送客人数のうち、レジャーとビジネスはほぼ同じ割合であるため、多少の円安でレジャーが落ち込んでも、ビジネスが増加することでカバーできるとの考え。韓国側の目標についても達成できるとの見通しだ。
KTOとのタイアップでは、それぞれの地方に焦点を当てたプロモーション特集を実施。今年は釜山、蔚山、慶尚南道への「訪問の年」であるため、同エリアの認知拡大と新規需要の開拓をめざす。とくにFIT向けのコースの紹介を実施していく予定だ。また、順天国際庭園博覧会をフックに集客をはかり、専用のページを作成して博覧会の見どころやアクセス方法、イベントを紹介していく。さらに、ソウルと釜山で楽天スーパーポイントをフックにした閑散期の予約促進にも取り組んでいく。
また、楽天トラベルでは今年初の試みとして、「食」「遊」「泊」の3つの旅行の目的別テーマに焦点を当てて韓国の魅力をアピール。食では韓国料理や郷土料理を紹介し、「楽天レシピ」とのタイアップもおこなう。「遊」ではマッサージや買い物、地方の観光名所や祭りを紹介していく。「泊」ではホテルだけではなく、韓国式伝統家屋なども訴求していく方針だ。
さらに、楽天トラベル単体でも、韓国の商品力、販売力、現地サポートを強化し、韓国の取扱人数増加をめざす考え。商品力では、ホテルや航空券、ダイナミックパッケージの在庫を増強し、とくにソウル江南地区、釜山、済州などについて取り組んでいく。さらに、空港シャトルなどの現地足回りの強化もはかる。販売力では楽天グループのリソースを活用したマーケティングやセールス活動を展開。楽天グループのスーパーセールなどの大型企画を活用して販売していく考えだ。また、現地情報のサポートもさらに進めていくため、11月に開設した韓国の旅行情報サイト「楽天トラベルナビ韓国」でも、情報を積極的に提供していくとした。