アクセスランキング、1位はB787運航停止、JTB経営計画も

[総評] 今週は、日本航空(JL)と全日空(NH)がボーイングB787型機の運航を停止した記事が最も高い注目を集めました。山口宇部から羽田へ向かっていたANA692便が電気系統のトラブルにより1月16日08時47分頃、高知空港に緊急着陸したもので、両社とも自主的に16日と17日の運航を見合わせたところ、米連邦航空局(FAA)と国土交通省から不具合が解消されるまでは運航禁止の指示が出されました。

 B787型機は「ドリームライナー」と呼ばれながらデリバリーが何度も遅れたり今回のような不具合が見つかったりと、名前にそぐわない、いささか不名誉な注目のされ方が多いように思います。

 B787型機の不具合に関しては、もともとはJLの機材が今月上旬にボストン空港で燃油漏れとバッテリー関連が原因と見られる発火を起こし、さらに成田でも燃油漏れを起こしたことでメディアの視線が集まりました。その後、操縦席の窓ガラス破損やブレーキの不具合などが報道され、さらに今回の緊急着陸となったため、消費者にとっては突然トラブルが連続しているように見えることでしょう。

 メディアの悪い癖で、一つの事柄に注目が集まると俄然としてその周辺の情報に過剰ともいえるスポットライトを当てて盛んに書きたてるものですが、今回も緊急着陸が発生するまではこうした側面があったように感じられます。

 もちろん安全は絶対に軽視すべきものではありませんし、些細なことだから伝えなくて良いというわけではありませんが、常日頃はほとんど見向きもしないような情報についてことさらに書き連ねるのはいかがなものかと思うわけです。

 とはいえ、緊急着陸については国土交通省が「重大インシデント」、つまり「航空事故が発生するおそれがあると認められる事態」として認定し、さらに運航禁止命令まで出ていますので、それまでの不具合とは話が異なります。バッテリーが発火して煙が充満する機内などあってはならないことですし、想像を絶する恐ろしさです。

 今後、B787型機は日米の航空当局などによる調査が進められ、バッテリーの改修がなされることになります。この進み具合によっては、JLのヘルシンキ線など路線網の拡充スケジュールにも大きな影響がでるはずですが、二度と同じような形で耳目を集めないためにも、入念かつ確実な処置がなされなければなりません。

 なお、今週はこのほか、2位にジェイティービー(JTB)が発表した新経営計画がランクインしています。これは2020年に取扱額2兆円、営業利益400億円、そして「アジア市場における圧倒的No.1ポジションを確立し、長期的・安定的な成長を可能とする基盤を完成」させようとするものです。

 また、JTBでは2013年から2015年までの中期経営計画も発表しておりますが、この中で市場の再定義として各事業領域の名称から「旅行」を外し、「国内個人事業」「国内法人事業」「グローバル個人事業」「グローバル法人事業」の4つを定めています。JTBが掲げる「交流文化事業」の完成に向けて、旅行のみにとらわれず、様々な土俵で戦おうとする意思の現れでしょう。

 日本最大の旅行会社であるJTBが2020年までの8年間でどのように歩み、どのような姿に変貌していくか、それのみでも興味深いところですが、その変化、あるいはその過程での競争が旅行業界、旅行市場に与える影響も大きな注目に値するように思われます。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年1月第3週:1月14日0時~1月18日18時)
第1位
JAL・ANA、17日もB787運航見合わせ、国際4便国内35便欠航へ(13/01/16)
国交省、B787の運航停止指示、18日以降も欠航や機材変更(13/01/17)

第2位
JTB、20年までの経営計画で「お客様視点」徹底-15年に営利200億円めざす(13/01/17)

第3位
2013年の市場展望とキーワード-12年の動向から読む、JTBFシンポより(13/01/15)

第4位
ジェットスター・ジャパン、搭乗者60万人達成-片道600円の記念運賃設定(13/01/17)

第5位
ルックJTB、2020年度に200万人へ-新中計、商品革新継続(13/01/15)
ルックJTB、13年度は「選びやすさ」重視、150万人めざす(13/01/15)

第6位
ピーチ、全線でキャンペーン運賃設定-福岡、長崎、鹿児島で片道2490円(13/01/17)

第7位
全日空、エア・ドゥ、ソラシドエアの新路線とコードシェア開始(13/01/15)

第8位
キャセイ、尖閣「多大な影響」も便数維持-品質向上継続(13/01/17)

第9位
フィンエアー、夏スケでスペインなど新路線、増便も(13/01/14)

第10位
キャセイ、新春特別セール、香港2万円から(13/01/17)