東京商工リサーチ（TSR）によると、2012年1月から12月までの旅行業倒産件数は、前年比31.4％減の37件（前年：54件）となった。TSRによると、円高を背景とした海外旅行の回復が減少に寄与したとの考え。東日本大震災関連の倒産も徐々に減少傾向にあり、今年は57.1％減の3件（前年：7件）と減少した。

　一方、12年の負債総額は39億2300万円（前年：29億8800万円）で、9億3500万円の増加となった。3月に倒産した名古屋市のケイ・テイ・エスが負債額16億円と全体を押し上げており、そのほか7月には高速ツアーバス事故のハーヴェストホールディングスが6億5000万円で倒産、9月には震災関連でグランシャリオツアーズが4億8000万円で倒産している。

　また、12年の宿泊業の倒産件数は16.4％減の112件（前年：134件）で、負債総額も696億4500万円（前年：1086億8600万円）と減少した。TSRによると、中小企業金融円滑化法による返済猶予の効果が出ており、震災の影響も徐々に落ち着いてきたことがあるとの見方だ。震災関連倒産も、27件（前年：32件）と減少した。

　なお、12月単月では、旅行業倒産件数は2件（前年：4件）。東京と大阪の小規模旅行会社の倒産だったこともあり、負債総額は3500万円（前年：1億7500万円）と大きく減少した。円高に伴い、中国、韓国を除く米国や東南アジアなどの海外旅行が回復傾向にあることが奏功したという。宿泊業倒産件数は6件（同：8件）、負債総額も18億8200万円（前年：78億6800万円）と前年から大きく減少。震災関連倒産は0件だった。