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アクセスランキング、デルタのヴァージン株取得が1位、アミューズも

[総評] 今週の1位は、デルタ航空(DL)によるヴァージン・アトランティック航空(VS)の株取得についての記事が1位になりました。記事でもご紹介したVS社長のリチャード・ブランソン氏の言葉の通り、VSは“独立の精神”で知られており、今回のニュースには驚かれた方も多かったのではないでしょうか。

 かくいう私もその一人で、プロダクトやサービスなどを含めたブランドの印象が異なる2社が“強力な提携関係”を構築することになるとは思ってもいませんでした。

 VSというと、良い意味で“若々しさ”であったり“やんちゃ”であったり、あるいは大手、既成勢力への対抗軸というようなイメージで、伝統よりは革新、重厚よりは軽快といったブランディングをしているように感じられますが、DLはいわゆるレガシーキャリア、メガキャリアであり、この2社がどのような関係を構築していくのか非常に興味深いところです。

 さらに、VSはスカイチームへの加盟も検討するとのことで、これも大きな驚きでした。仮にスカイチームへの加盟が決定すれば、DLとの共同事業は大西洋路線のみを対象とするものであっても、影響は多方面に及ぶでしょう。

 例えば、全日空(NH)とのコードシェアが見直されることもあるかもしれませんし、そうなると成田から撤退して羽田に就航する計画にも狂いが出ます。ブランソン氏の「独立の精神」という発言が現時点で何を意味するのかはわかりませんが、数ヶ月内という判断次第では日本市場でも変化が生じるかもしれません。

 さて、今週はこのほか4位にアミューズトラベルに関する記事も入っています。観光庁が同社の旅行業登録を抹消する行政処分の方針を固めたもので、万里の長城ツアーでの遭難事故が原因です。

 トムラウシでの事故の際は処分までに1年半近い時間がかかったのに対して今回は1ヶ月程度であり、さらに廃業の意思が確認されてから1週間足らずということで、前回の対応への反省もあるのかもしれませんが、なんとしてでも処分するという意思が感じられなくもありません。

 処分の詳細な理由は記事をご覧いただきたいと思いますが、簡潔に書けば違反事項は6項目で、そのうち4項目が万里の長城ツアー関連、2項目はそれ以外であり、営業停止日数が合わせて72日となり、60日を超えたために登録取消という判断です。

 万里の長城以外では貸切バスの運送引受書を保管していなかったことが入りました。これは今年7月に高速ツアーバスの事故を受けて義務付けられたもので、おそらくまだ徹底できていない会社もあるでしょう。アミューズトラベルとしても、そうした会社との不公平感は持っても不思議ではありません。

 もちろん、決まりごとですから守らなければなりませんし、その是非をどうこう書くつもりもありません。ただ、決まりがあり、それに基づいて処分をおこなうのであれば、業界全体に対して等しくするべきでしょう。見つかった会社の運が悪かっただけ、では事故の再発を防ぐために定められた決まりも意味のないものとなります。

 同様に、記事でも触れましたが、現地の下見についても今後しっかりとした議論が必要です。前年にしていれば良いのか、あるいは冬のツアーでも夏に行っていれば良いのか、登山やハイキング以外のツアーはどうか、そもそも下見とは何か、など論点は無数にあります。

 旅行会社としてはコストの増加に直結するわけで頭の痛い議論にはなるでしょうけれども、一方では安全、安心のためであり、旅行会社としての価値を提供するためには必要不可欠でもあります。個人的には、念入りな下見が旅行代金に影響したとしても、お客様から評価され増益に結びつくようになってほしいと願っています。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年12月第2週:12月9日0時~12月14日17時)
第1位
デルタがヴァージン株取得、スカイチーム加盟も検討(12/12/12)

第2位
LCCを業務渡航に活用、コスト削減効果訴え-定時運航率など課題も(12/12/11)

第3位
MH新副社長、A380日本導入に意欲-LCCとの差別化も(12/12/09)

第4位
観光庁、アミューズトラベルの登録取消へ、行政処分方針固める(12/12/10)

第5位
タイ国際航空、A380の成田導入前倒し、13年1月1日に(12/12/10)

第6位
ピーチ、7機を追加導入、2015年までに合計17機計画(12/12/09)

第7位
日本航空、「ドラえもんジェット」就航へ、記念ツアーも(12/12/11)

第8位
日本航空、国内線自動チェックイン・発券機を刷新(12/12/09)

第9位
大韓航空、コロンボとマーレに就航-日本線との接続利便を考慮(12/12/10)

第10位
エバー航空、新潟/台北線就航へ、1月から週2便(12/12/11)