アクセスランキング、1位はJTB好業績、2位はデルタ羽田線

  • 2012年11月23日

[総評] 今週は、ジェイティービー(JTB)の2012年度中間決算に関する記事が1位になりました。売上高が16.4%増の6379億円となり、利益面では営業利益が(営業利益、経常利益、四半期純利益ともに)5倍となるなど景気の良い数字が並んでいます。震災前の2010年度と比較しても売上で4.7%増、営業利益は3倍ですから、震災による落ち込みからの反動というわけでもありません。

 記事でも触れていますが、海外旅行では円高などを追い風として需要が好調に推移しましたし、国内も東京スカイツリーなどが旅行意欲をかき立てたようで、こうした市場環境がJTBの業績に寄与したものでしょう。また、新規投資の抑制などの取り組みも営業利益の大幅増につながったそうです。

 すこし調べてみますと、今回発表された営業利益171億円、経常利益187億円、四半期純利益104億円という数値は中間期でありながら、2008年度から2011年度までの通期決算の数値を上回っていることがわかります。2007年度も期首計画をクリアして営業利益が187億円、経常利益が225億円ですから、今年の中間期と過去数年間との違いがはっきり見て取れるのではないでしょうか。

 この数年間が苦難の時代であったのか、今年がたまたま良いだけのか判断しかねる部分もありますが、JTB連結子会社数が2009年度の200社から176社に、従業員数が2009年度の2万8777名から2万5675名に減少していることを考えますと、少なくとも効率化、生産性の向上が進んでいるといえます。

 気になるのは、上期は「わずか」に留まったという尖閣・竹島問題の影響や景気動向ですが、前者については下期全体で中国が6、7割、韓国が3割程度の減少となる見込みだそうです。ハワイやミクロネシア、北米、欧州、その他アジアなどの方面ではむしろ2桁増の見通しが示され、総合的にみると前年並みに落ち着くとの予測ですから、あまり心配しすぎる必要はないのかもしれません。

 JTBは数多くある旅行会社の1つとはいえ旅行業界を代表するリーディングカンパニーですから、JTBの業績には旅行市場の浮き沈みが反映されるといって差し支えないはずで、他の旅行会社についても同様ですが、まずは上方修正した通期業績予想が確実に達成されることを願うばかりです。

 さて、今週はこのほか、2位にデルタ航空(DL)の羽田/シアトル線に関する記事が入りました。これは、もともと運航していたデトロイト線が思うように利用されず、より利益の見込めるシアトル線への切り替えを願い出たものが、数ヶ月の審査を経て暫定承認されたというニュースです。

 審査に際してはユナイテッド航空(UA)、アメリカン航空(AA)、ハワイアン航空(HA)がそれぞれ代替路線を申請し、互いに自らの路線の優位性をアピールしつつ他社を批判しあい、さらに各路線について利害関係のある空港会社や観光局などが相次いで支持表明をするという泥仕合の様相でしたが、印象に残ったのはそのやり取りがすべてウェブ上で公開される点でした(リンク)。

 泥仕合というとあまり歓迎されない表現ですが、貴重な権利を巡る争いですからむしろそうなって当然で、それがはっきり見える形で公開して国民もコメントできるようにし、最終的な判断でも各社の主張を踏まえてなぜ選んだのか、なぜ選ばなかったのかを説明するという仕組みは、米国の優れた点としてさすがと思わせられるものでした。

 日本の国土交通省でも、羽田の発着枠の配分方法について有識者を集めて検討会を実施しており、発着枠のオークションや地元自治体を巻き込む政策コンテストなどが検討されていますが、上記のような方法で透明性を確保するのもひとつの方法なのではないかと思われます。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年11月第4週:11月15日0時~11月23日17時)
第1位
JTB、中間期は増収増益、営利は404%増に-通期予想も上方修正(12/11/17)

第2位
デルタの羽田/シアトル線が暫定承認、13年3月の就航計画(12/11/17)

第3位
中部、LCCターミナル検討-エアアジア・ジャパン就航は13年期待(12/11/15)

第4位
エアアジア・ジャパン、中部の第2拠点化「ほぼ確定」(12/11/21)

第5位
日本航空、レストランで新B777の機内食提供、シート体験コーナーも(12/11/20)

第6位
デルタ航空、B747-400の改装完了、水平ベッドシートも(12/11/19)

第7位
ハワイ、200万人実現に向けた課題-日本ハワイ観光協議会の議論から(12/11/20)
ハワイ、13年マーケティング方針決定、新教育プログラムも(12/11/20)

第8位
タイと航空協議開催へ-首都圏が焦点、羽田昼間枠など(12/11/17)

第9位
ジンエアー、那覇/仁川線、12月24日から-13年は成田就航も(12/11/20)

第10位
総合旅行業務取扱管理者、12年度は3517名合格、合格率30.5%(12/11/17)