現地レポート:ダーウィン&カカドゥ、豪州の新デスティネーション誕生
生態系豊かな自然と先住民の史跡が彩る
世界複合遺産のカカドゥ国立公園と州都ダーウィン
自然と人類が融和した太古の姿
貴重な世界複合遺産
もうひとつ、カカドゥの重要な訴求ポイントは、世界でも数少ない世界複合遺産であること。大自然のなかで4万年以上も前から暮らしてきたアボリジニの生活の跡が残る、貴重な文化遺産でもあるのだ。
その代表的な史跡が、岩に描かれたロックアート(壁画)。アボリジニが伝説や生活に必要な知識や教えを伝承するために描いたもので、園内には5000ヶ所以上、記録されていないものを含めると1万ヶ所以上の壁画のポイントがあるという。
なかでも雷の神様「ナマルゴン」を描いた壁画のあるノーランジーロックや東部のウビルが有名。壁画に関するガイディングは自然を大切にしてきたアボリジニの生活とオーストラリアの歴史の説明につながり、興味深いものばかりだ。ノーランジーロックやウビルには小一時間で回れるトレイルと岩山があり、眺望が楽しめるポイントがある。壁画の観光後なら、目前に広がる風景に、自然と人類が融和したオーストラリアの太古の姿を思い描くことができるだろう。
実はカカドゥには今もアボリジニの人々が伝統を守りながら生活する「アーネムランド」があり、ウビルの岩山からその地域がうっすらと見える。居住者以外が入域する場合は事前認可が必要だが、ツアーを催行する会社もあるという。
カカドゥの宿泊施設だが、「カカドゥ・クロコダイル・ホリデイイン」、「カカドゥ・クーインダロッジ」など、しっかりした施設がそろう。近郊のマリーリバー国立公園の原野に建つ小規模リゾート「ワイルドマン・ウィルダネス・ロッジ」は、特別感を求めるFITに訴求できそうだ。
ダーウィンからカカドゥへは車で片道約3時間。日帰りや1泊ツアーでは「遠い」という印象だが、研修旅行ではカカドゥで行なわれている遊覧飛行を利用して、復路はフライバックする可能性を見出した。今回は遊覧飛行の体験はしなかったが、日本人旅行者の半数が現地で申し込むといい、満足した感想が多いという。参加した旅行会社は「予想以上のデスティネーション」「オーストラリアの他の地域とは違う魅力がある」と、十分にポテンシャルを感じていた。