ヒルトン、MICEでカーボン・オフセット、顧客負担なし
ヒルトン・ワールドワイドはこのほど、9月に日本市場で開始した「ヒルトン・ワールドワイド カーボン・オフセット・プログラム」を紹介する記者説明会を開催した。このプログラムはMICEでの利用に適用するもので、各ホテルでの会議やイベントについて、排出される温室効果ガスの量を計算し、これに相当する分のカーボン・クレジットをヒルトン側が購入してオフセット(埋め合わせ)するというもの。顧客には費用の負担を求めない。
プログラムを導入するのは、コンラッド東京、ヒルトン東京、ヒルトン名古屋、ヒルトン大阪、ダブルツリーbyヒルトン那覇など、国内9軒のホテル。会議やイベントで排出される温室効果ガスの量は、独自に開発した計算システム「ライトステイ」によって算出する。
温室効果ガスの排出権は、クレジットという形で価格がつけられ、ヒルトン・ワールドワイドは、排出量に相当する国内クレジットを買い取り、環境負荷を相殺する。買い取ったクレジットは、日本国内の温暖効果ガス排出削減事業に取り組む中小企業への支援に充てられるという。
この日の記者説明会は、コンラッド東京の宴会場で20名を対象に約1時間30分、コーヒーか紅茶と小菓子、ブッフェの昼食つき、プロジェクターを使っておこなったが、「ライトステイ」の計算式では、照明が12キログラム、コーヒー・紅茶と小菓子は19kgなどとなり、温室効果ガスの合計量は約140キログラム。ヒルトン・ワールドワイドがこれを埋め合わせるかたちだ。コンラッド東京運営担当副総支配人のマーク・ミーニー氏によると、2012年9月に国内9ホテルで排出された温室効果ガスの合計値は244.5トンであった。
ミーニー氏は本誌の取材に対し、「MICEを取り扱う旅行会社には、ヒルトン・ワールドワイドが環境問題に対して行っている取り組みを、ぜひ知っていただきたい。会議やイベントを主催する顧客企業への啓発活動になるだけでなく、主催する顧客企業が費用を負担することなく、会議やイベントの招待客へ、環境問題に取り組む企業姿勢をアピールできる」と説明。コンラッド東京でも、会議やイベントを開く企業から環境対策についての問い合わせが増えているという。
なお、この日は、経済産業省の委託を受けて国内クレジット事業を推進しているイースクエア取締役副社長の及川謙氏も登壇。グローバル企業による取り組みがもたらす効果を高く評価した。