エアアジア・ジャパン、中部の拠点化を検討、空港運用で他LCCと協調も
航空会社やホテル、観光局、旅行会社など、旅行業界関係企業の有志で構成するTICS(Tourism Industry Communications Society)は9月27日、エアアジア・ジャパン(JW)代表取締役社長の岩片和行氏を講師に招き、会員向けの定例会を開催した。このなかで岩片氏は今後、JWが国内線、国際線を広げていく中で「成田以外の第2、第3、第4の拠点空港を検討している」と言及。空港の運用等の面で「24時間空港で就航しやすい空港。LCCは1日8往復運航できれば効率的」とし、「中部を一つの拠点として検討している」とも明かした。
岩片氏は講演の中で、LCCについて「効率的な経営でコストを削減し、低価格の運賃で運航サービスを提供する航空会社」と強調。拠点とする成田空港については、LCC誘致の方向性の中「施設整備をしてもらっている」とする一方、使用料について「少ないスロットを有効活用する時代の政策が残っている」とし、空き時間帯の着陸料の割引や1機あたりで設定するバゲージハンドリングシステムの使用料について見直しを求めているという。
また、発着時間については「騒音問題なので運用時間を延ばすことは難しいと思うが、一定条件を満たした場合は認めてもらえるような柔軟な運用をお願いしたい。地元自治体なども含めて幅広く相談していきたい」と述べ、「LCC同士で手を組むこともありえる」と、他社と協調して話し合いをしていく可能性も示唆した。
▽国際線就航日は近々発表、旅行会社との関係は「研究段階」
岩片氏の講演は「LCCが引き起こす空の大革命」と題して実施。LCCの概要からJWの戦略などについて語り、参加した会員からの質疑に応えた。JWは8月1日の就航から約2ヶ月だが、岩片氏は「順調な滑り出し」と評価するものの、「先を考えると厳しいチャレンジが待っている。まだやるべきことも多くある」と気を引き締める。今後は10月の予定で発表していた成田/仁川線、釜山線の就航を控えているが、正式な就航日は今後発表する予定だ。
参加者からは、JWの流通施策について質問があった。航空券販売はこれまで、JWウェブサイト上の直販がほとんどだが、今後はエアアジア(AK)が現在、エクスペディアとマレーシアに合弁会社を設けてダイナミックパッケージの販売をしていることに触れつつ、「国際線の就航など路線が増える中、現状の販売方法で良いとも思えない。旅行会社にお世話になることもあると思う」と可能性を示唆。「コスト管理が重要な中、旅行会社の手じまいなどに上手に対応できるか、その検証が必要。研究段階にある」と語った。
また、JWではほとんどが直販のため、消費者は購入条件を自分で理解して利用する必要がある。この点についても参加者から就航後の消費者の状況とリスク管理について質問があったが、岩片氏は「運航前は危惧していたが、実際に始まってみるとほとんど混乱はなかった」と説明。年配者も多かったが、自らパソコンを操作し、サービス内容を理解している人が想像以上に多いという。「同じ航空会社でも大分異なる。バスや列車のように使いやすい乗り物にしていく」と述べ、消費者に対しては継続してJWのサービスを理解してもらえるよう努めていく考えを示した。