ブランドUSA、観光交流年は「起爆剤」-方面の多様化めざす
日本・アメリカ観光交流年の調印式に合わせ、ブランドUSAから事業開発担当最高責任者のポール・セルーラ氏とインダストリー・タスクフォース会長のタッド・デイヴィッドソン氏が来日し、観光交流年を起爆剤にアメリカブランドの構築と日本人渡航者数増に注力する考えを示した。
セルーラ氏は「アメリカ全土という枠組みでプロモーションを実施するのはブランドUSAが初めて。『アメリカ』ブランドを公平に強く訴求し、ここ10年弱まっていた日本人のアメリカへの渡航の情熱を再燃させたい」と強調。観光交流年は2013年8月までだが、「広範なプログラムがスタートする起爆剤であり、基盤となるもの。(プログラムは)長く継続していく」との考え。
また、ブランドUSAでは、2016年末までにアメリカへの日本人旅行者数375万人を目標としているが、セルーラ氏は「日本は以前500万人市場だった。最終的なゴールとして、そのレベルまで戻していきたい」と述べた。デイヴィッドソン氏も「それだけの潜在能力はある市場だと確信している」と期待を述べた。
今後は日本市場において、日本ではまだあまり知られていない地域やアクティビティの認知向上をはかる。セルーラ氏は「アメリカには日本市場で知られざる観光素材が多くある」とし、ニューヨークやハワイなど、日本でよく知られた地域に加え、日本に観光局の事務所がなく、いままで十分にプロモーションできていなかった地域を積極的に打ち出していく考えを示した。
ブランドUSAでは、重要市場と位置付ける英国、カナダ、日本で、すでに5月から世界に先駆けて消費者向け広告キャンペーンを展開。キャンペーン前後に実施したアンケート調査によると、「アメリカへ行きたい」と答えた回答者はキャンペーン前と比較して11%増加しており、セルーラ氏は「かなり成功したのでは」との見方だ。
5月に立ち上げた日本事務所も含め、すでに日本市場に400万米ドルを投資しており、今後も広告キャンペーンを継続していく計画。広告では、4月に開設したブランドUSAの公式サイト「Discover America」への誘導をはかる。また、JATA旅博2012には、ハワイやグアム、マリアナなどを含め、31団体が62ブースを出展し、統一感をアピールした。
▽米国旅行観光諮問委員会、入国審査簡素化働きかけ
また、米国旅行観光諮問委員会の委員長も務めるデイヴィッドソン氏は、「ブランドUSAはマーケティングを実施しアメリカの魅力の認知向上をめざすが、米国旅行観光諮問委員会は観光産業に関わる政策について政府に働きかけをおこなっている」と紹介。ブランドUSAと協力し、アメリカへの旅行者数増加をサポートしていく姿勢を示した。現在、キヨスクでパスポートをかざし、指紋の読み取りと顔写真の撮影で入国手続ができるような、自動出入国審査サービスを日本人にも対応できるよう働きかけている最中だという。