アクセスランキング、1位はHISのミキ株取得、エアアジアXも
[総評] 今週は、エイチ・アイ・エス(HIS)がミキ・ツーリストの持株会社の株式を取得したニュースが大きな注目を集め、1位になりました。アジア市場での展開を見据えたもので日本市場での事業に変化はないとのことですが、ミキ・ツーリスト代表取締役社長の檀原徹典氏も懸念を示されている通り、業界の関心は、中立なオペレーターであるミキ・ツーリストに“色”が付くかどうかに集まっているように思われます。
株主である創業メンバーの意向もありますので、軽々に今後の予想を立てることはできませんが、一つ言えることは、今後もこういった大きなニュースが飛び込んでくる可能性は十分にあるということでしょう。
冒頭でも触れた通り、今回の株式取得で両社はアジア市場での事業強化を期待しています。檀原氏は就任時のインタビュー(リンク)でも、アジア各国の需要取り込みを重視する姿勢を示されていましたが、その背景には日本市場のバイイングパワーだけでは仕入れの質と量を維持できないという現実があります。
昨年3月にはクオニイトラベルによるガリバーズ・トラベル・アソシエイツ(GTA)の買収も発表されましたが、このような世界的な旅行業界のうねりの中で、日本市場の事情のみが企業の判断を左右するような段階はすでに過ぎ去ったといって過言ではないでしょう。
注目を集めているLCCもそうですが、ガラパゴス的といわれる日本市場では何事も海外での動きが遅れて入ってくるようです。目の前で起きたことに驚き慌てて対応するのではなく、視野を広く持ち、これから起きるであろうことを予測しながら行動を進めなければなりません。
今週の2位にはエアアジアX(D7)CEOのアズラン・オスマン・ラニ氏のインタビューが入っていますが、氏のお言葉の中にも未来を予見する上でヒントになりそうなフレーズがいくつもありました。例えば、航空会社の「ハイブリッド化」についての言及は、フルサービスキャリア(FSC)とLCCの違いを理解し、今後の航空業界がどのように変化していくかを考えるのに非常に有益ではないかと思います。
また、旅行会社の“バリュー”に期待をする旨の発言も重要なポイントでしょう。航空会社の方々はリップサービスも含めてこういった発言をよくされますが、逆にいえば“バリュー”のない旅行会社には期待できないということでもあります。
先ほどリンクを掲出した檀原氏のインタビューでも、「旅行会社がホテルを選ぶ時代から、ホテルがつきあう相手を選ぶ時代になってきた」という表現がありますが、旅行会社が選ばれるために必要なもの、旅行会社の“バリュー”を見出さなければなりません。
“バリュー”とは言い換えれば強みであり、圧倒的なバイイングパワーや消費者からの信頼、創りだす旅行の魅力などがその一例でしょう。重要なことは自社の強みが何であるかについて、経営者が決めるだけでなく全社員が意識を統一し、それを磨き上げていく努力をすることなのではないかと思われます。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年8月第2週:8月5日0時~8月10日14時)
第1位
◆HIS、ミキ・ツーリスト持株会社の株式取得、世界規模の旅行会社見越す(12/08/08)
◆ミキ、HIS協業も日本市場は従来通り、アジア強化がねらい(12/08/09)
第2位
◆トップインタビュー:エアアジアX(前)、戦略面の歩み-LCCは「ユニクロ」的(12/08/07)
◆トップインタビュー:エアアジアX(後)、日本市場での展望と差別化(12/08/07)
第3位
◆ANAグ、第1四半期は4年ぶりの最終黒字-営業利益110億円(12/08/05)
第4位
◆東電、千葉県の11市町を風評被害賠償地域に追加(12/08/07)
第5位
◆主要58社、上半期の海外旅行2割増、すべての月で2010年上回る(12/08/07)
第6位
◆旅行業倒産、7月は8件-ハーヴェスト関連も(12/08/08)
第7位
◆現地レポート:RCI、日本発着クルーズの魅力と販売のポイント(12/08/09)
第8位
◆東北道のツアーバス事故、第2種のアイ.ティ.エスに立入検査(12/08/05)
第9位
◆ジャルパック、ファミリージェット好調、「アウラニ・ディズニー」効果で(12/08/06)
第10位
◆HIS澤田会長、東京交響楽団の理事長に就任(12/08/07)