アクセスランキング、1位は関空LCCターミナル、羽田発着枠も
[総評] 今週は、新関西国際空港株式会社(新関空会社)が10月28日に供用を開始するLCCターミナルについての記事が1位になりました。茨城空港でLCCを意識したターミナル設計がなされた例はありますが、LCC専用のターミナルはこれが初めてですので注目も高くなっているようです。
このターミナルは、主にピーチ・アビエーション(MM)が使用することになります。LCC専用ターミナルというと、諸外国では不便な場所にある印象がありますが、既存ターミナル前のエアロプラザからバスを利用すれば10分未満で移動可能とのことで、成田や羽田空港でのターミナル間の移動と大きな差はなさそうです。
新関空によると、新ターミナルはMMの事業規模が10機体制、年間旅客数400万人となった時点のピークタイムでも支障が出ない施設をめざしたということです。国際線と国内線を合計した数値とはいえ、年間400万人は相当大きな数字です。海外での先例を参考にすれば、そのうち何割かは完全な新規需要となるはずですから、旅行市場拡大の可能性は小さくありません。
現時点でMMは直販率100%とのことですので、この市場拡大の恩恵を旅行会社が直接享受することは今のところ難しいかも知れません。しかし、市場が拡大するのを指をくわえて見ているわけにもいきませんし、MM以外にも新ターミナルに興味を示すLCCが数社あるそうですから、旅行会社としても積極的に情報を収集し、食い込める場所を貪欲に探すべきでしょう。
LCC関連以外でも、例えば3位の記事でご紹介した羽田の発着枠配分方法の検討も注意が必要でしょう。検討作業自体が始まったばかりですので具体的な方向性が定まっているわけではありませんが、航空局からは「国民の貴重な財産」として有効利用するために従来の枠組みを超えた議論が求められました。
再国際化からもう少しで2年が経つ羽田空港ですが、国内線のハブ空港としての役割と国際線の関係をどう位置付けるか、成田空港とはどのように棲み分けるかなど、検討次第で海外旅行業界にも大きな変化が起きるはずです。当たり前のことですが、こうした転機にどのように対応していくかが未来を決めますし、変化が起きてから動くのではなく、変化を予見して準備を進めていかなければなりません。
旅行業界紙として、トラベルビジョンも皆様が変化を予見するために役立つ情報をより多く掲載していきたいと考えています。一例として、MMも今後の競争環境によっては旅行会社との協業策を探る可能性があるわけですが、近々にMM代表取締役CEOの井上慎一氏にインタビューする機会をいただいています。関空の新ターミナルからどのような変化が起きていくか、あるいはどのような変化をもたらしたいとお考えか、井上氏のお話しをお聞きし、皆様にお伝えできることを楽しみにしています。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年7月第5週、8月第1週:7月29日0時~8月3日20時)
第1位
◆関空のLCCターミナル、10月28日供用開始-旅客施設使用料は4割減(12/07/31)
第2位
◆デルタ、羽田/シアトル線に意欲、デトロイト線振り替えで(12/08/01)
第3位
◆羽田発着枠拡大、配分基準検討-オークションや自治体への割当も(12/07/29)
第4位
◆ガルーダ、ビジネスと訪日強化-羽田増便も視野に(12/07/30)
第5位
◆ピーチ、関空/台北線は10月16日に開設、12月には増便も(12/07/29)
第6位
◆全日空、客室乗務員を既卒採用へ、最大80名程度(12/07/29)
第7位
◆デルタ航空、福岡/ホノルル線を通年化、中部線ともにデイリーに(12/07/31)
第8位
◆JTB、USJ貸切-旅行会社で初、創立100周年記念で7000人販売へ(12/07/30)
第9位
◆日本航空、6月の旅客数25%増、利用率も10年上回る(12/07/30)
第10位
◆エアアジア・ジャパン、初便搭乗率は平均74.7%-夏は好調に推移(12/08/01)