JATA、12年度は国内、海外、訪日旅行「三位一体」、相乗的に需要拡大へ
日本旅行業協会(JATA)は6月14日、第56回定時総会を開催した。総会冒頭に登壇したJATA会長の金井耿氏は、2012年について「新規LCC3社の就航など、震災後の消費者心理の変化と相まって、旅行会社にとって急激な環境の変化が起きる可能性のある年」との見方を示した。こうした環境の下、2012年の重点課題として、特に「新たな観光需要の創造と旅行ビジネスの環境変化への対応」をあげ、「観光庁をはじめとした行政や関係機関、団体と協同し、震災からの復興とともに、国内、海外、訪日旅行を三位一体で相乗的に拡大していきたい」と述べた。
▽2012年度も6項目設定-約款改正は早期実現めざす
総会では2012年度の事業計画が承認された。計画では昨年に引き続き、重点項目として6項目を設定。「新たな旅行需要創出の取組み」「旅行ビジネス環境の変化への対応と取組み」「コンプライアンス、リスクマネジメント経営促進のための取組み」「さらなる人材育成と人材開発」「広報活動の強化」は昨年度と同様。今年から「一般社団法人としての事業展開」を掲げ、運営基盤の確立、共益事業の強化、支部との一体的な活動の推進をはかる。
また、海外旅行事業ではビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)をビジット・ワールド事業として強化。キャンペーン事業から主幹事業へと位置づけを変更し、海外旅行推進部で実施していく。さらに、海外旅行促進の阻害要因への対応や海外旅行情報の収集と提供、緊急事故・緊急課題への対応、二国間協議・交流などの事業を展開。地方自治体や外国政府観光局、航空会社、空港会社、ランドオペレーターやホテルなどとの連携を深め、効果的にアクションプランを実施していく考えだ。
一方、国内旅行では引き続き宿泊旅行の拡大をはかり、「もう一泊、もう一旅」キャンペーンを実施。フェイスブックの活用や宿泊施設との連携強化、観光関連団体との協働での取り組みなども行なっていく。復興支援の住宅エコポイント事業や東北観光博への協力も積極的に実施し、需要創出に努める考えだ。訪日旅行では良質な新規需要の創出、人材育成や地域との連携などを展開していく。
また、昨年から改正に向けた取り組みが進められている旅行業約款については、JATA事務局長の長谷川和芳氏が「妥当性を根気よく説明し、できるだけ早い時期の改正実現に向けて引き続き努力していく」とコメント。昨年3月に約款改正の要望書を提出した後、今までに観光庁による検討会が5回開催されているが、取消料規定の問題など消費者の関心が高いところについて厳しい議論がなされているとした。