ネットとリアルの融合 るるぶトラベル・感謝の夕べ
JTBのインターネット宿泊予約サイト「るるぶトラベル」の5周年を記念した「感謝の夕べ」がこのほど、大阪市天王寺区のシェラトン都ホテル大阪で開かれた。当日は報道関係者を前に、JTB西日本の日比野健社長とるるぶトラベルを運営するi.JTBの今井敏行社長が、ネットとリアルの融合による販売展開について説明した。
カギは「旅館との信頼関係」 JTB西日本・日比野社長
今井社長はるるぶトラベルの現状と今後の展望を解説。2011年度の国内宿泊旅行の販売実績は他のネットエージェントが対前年100%前後だったなか、初めて伸び率で越えるなど好調で、ネット販売額が現在のグループ全体の約20%である645億円から、15年には1500億円、全体の40%に成長させたい意向を示した。
JTBのネット販売は現在、るるぶトラベル、JTBサイトの2本柱。将来的な成長に向けて、るるぶトラベルでは今年度は(1)宣伝強化(2)リピーター戦略(3)品揃え拡大(4)地域施設との「共存」、JTBサイトでは着地型観光コーナーを設けるなどのリニューアル、クロスチャネル戦略を重点的に取り組む。
2サイト体制を敷く理由について日比野社長は「昔からの旅館の信頼関係」を一番に挙げ、「大きな在庫を預からせてもらっている以上、売る使命がある。手数料8%を維持するなど信頼関係を大事にしたい」と強調。海外からの高い支持やビジネス利用契約1千社なども背景に「多面的に幅広く展開することがJTBのネット戦略の特徴」と位置付けた。
さらに今井社長も、るるぶのリピーター戦略の一環であるポイント制について「ポイントは旅館ではなく自社負担で考えている」と述べるなど、旅館との信頼関係強化への意志をうかがわせた。
店頭販売とネット販売の関係の将来性について聞かれると、今井社長は「ネットが店頭を食うとは考えていない。選択肢の増加だ」。日比野社長は「ネットの比率が50%を超えることはないだろう。ネットで調べ店頭で買うというクロスチャネル利用が増えており、こういう会社づくりを進めたい」と話した。
日比野社長は同社全体の販売展開についても言及。目標の宿泊販売4千億円達成に向け注力しているポイントに「質の向上」と「地域交流ビジネス」を挙げ、なかでも地域交流については、元気な地域を紹介する「地恵のたび」や雑誌感覚のパンフ「旅響」など西日本独自の取り組みを紹介しながら「『受け』の発想で地域に利益をもたらす仕組みを構築したい。地元の発信したいものを旅行会社の視点でコーディネートできる"中間媒介会社"になりたい」と意気込みを示した。
感謝の夕べには協定宿泊施設約650軒を招待。ナビタイムジャパンの大西啓介社長による記念講演、るるぶトラベルが提携するヤフーの地域情報サイト「Yahoo!ロコ」のプレゼンテーションが催された。
情報提供:トラベルニュース社