「ブランドUSA」新キャンペーン発表、日本市場も本格始動

スピーチをするブランドUSA・CEOのジム・エバンス氏(ロサンゼルス発:特派 森真弓) 米国カリフォルニア州ロサンゼルスで4月23日(現地時間)に開幕した旅行見本市と商談会「インターナショナルPOWWOW(パウワウ)」の会場で、ブランドUSAによる会見がおこなわれ、新しいプロモーションの概要が発表された。

 ブランドUSAのCEOジム・エバンス氏によると、第1フェーズとしてまず日本、英国、カナダ市場でのプロモーションを先行展開。5月から7月の3ヶ月間で、計1230万ドル(約9億8400万円)を投じ、消費者向けのテレビCMを中心に、米国としては史上初めて、旅行先としての国全体のブランディング、マーケティングに取り組む計画を発表した。

 ブランドUSAは2010年3月に成立した「旅行促進法(TPA)」に基づいて設立。同法はマーケティングとプロモーションを通して国外からの旅行者を増やし、経済成長を促進、雇用を創出することを目的としたもの。米国が国単位で国外に向けた旅行マーケティングをおこなうのはこれが初めての試みだ。活動の予算は、ESTA取得料金と旅行業界の拠出金からなる。

 会見ではジョニー・キャッシュの娘で、グラミー賞受賞歌手のロザンヌ・キャッシュさんの作詞・作曲によるオリジナルテーマソング「ランド・オブ・ドリーム」と、同曲を使ったテレビCMも披露された。キャッチフレーズは「Discover this land, like never before」で、いまだ知られていないアメリカの魅力を訴求していく構えだ。また、消費者向けのウェブサイトとして「DiscoverAmerica.com」も開設し、ソーシャルメディアを使ったプロモーションも開始した。

パウワウ会場の中央に設けられたブランドUSAのブース エバンス氏は壇上で世界各国から集まった報道陣を前に、「我々は世界中の人々に米国に来てもらい、この国が提供できる無限の可能性を体験してもらうことを望んでいる」と説明。また、ブランドUSA会長のスティーブン・J・クルーベック氏は、「米国は236年の歴史のなかで、これまで1度も国外旅行拡大のために国全体として組織的なマーケティング努力をした経験がない。このキャンペーンを通して、我々は何百万人もの旅行者という、非常に価値の高い経済資源に到達する」と意気込みを語った。

 日本市場では、ゴールデンウィーク明けの5月5日からシネアドでのコマーシャル放映でキャンペーンが開始。7日からは首都圏と関西圏において、テレビCM放映がスタートする予定だ。なお、日本での活動はアビアレップス・マーケティング・ガーデンが担当する。

 日本事務所代表に就任した早瀬陽一氏は本誌取材に対し、「まだ正式な依頼をいただいてから日がないので、詳細はこれから本部と相談して詰めていく必要がある。当キャンペーンではアメリカ本土にばかり目が行きがちだが、日本についてはハワイとミクロネシアへの旅行者が多いため、両市場との兼ね合いについても協議することになるだろう」と話した。

 なお、今回の予算は消費者向けのコマーシャルが中心で、旅行業界に向けたプロモーション予算は別枠で設けられる。現在、米商務省などと予算計画の詰めの作業を行っており、詳細は決まり次第発表される予定だ。