エジプト、安全強調し訪問呼びかけ-直行便は需要により増便も
エジプト観光省大臣のモ二―ル・ファクリ・アブデルノ―ル氏がこのほど来日し、エジプトの安全性を訴え日本人の訪問を呼びかけた。4月17日に開催した記者会見で、アブデルノール氏は「エジプトを日本人観光客が訪問することがいかに重要かを伝えるのが来日の目的の一つ」とし、「上エジプトから紅海沿岸までエジプト全域で治安は確保されている」とエジプトの治安の回復と安全性を強調。「我々は日本人の訪問を必要としている。是非戻ってきてほしい」と訴えた。
エジプトの治安については、デモもまだ発生してはいるがカイロ中心のごく一部の限定的なもので、観光客に影響はないと述べる。治安が安定したことから、1994年以降セキュリティ上の問題から運航を中止していたカイロ/アスワン間のナイル川クルーズも再開したという。
2011年の日本人旅行者数は78%減の2万7000人。昨年の暴動以降、外務省の渡航情報発出やエジプト航空(MS)の日本路線運休などが響いた。こうしたなか、アブデルノール氏は「日本の観光客は知的レベルが高く、エジプトが最重要視している文化をテーマにした旅行に関心が高い。我々としても(訪問を)サポートしていきたい」と意欲を示す。
日本/エジプト間はエジプト航空(MS)が成田/カイロ線を週6便、関空/カイロ線を週4便で運航していたが、11年2月から運休。今年の4月16日に成田/カイロ線の運航を週2便で再開した。アブデルノール氏は復便について旅行会社のヒアリングなどから需要が高いと判断して決定したとし「旅行会社とお互いに利益を享受できる形になれば」と期待を述べた。
MS会長のアイマン・ナセル氏によると、まずは成田線の週2便から開始し「日本市場の感触を掴みたい」考えだ。旅客数が堅調に伸び、需要が見込めると判断できれば増便する方針。ナセル氏は将来的には「以前のレベルまで戻していきたい」考えを示した。また、治安の悪化にともない検討を停止していた成田・関空/カイロ便のデイリー化についても、再検討を開始したい考えだ。
なお、エジプト観光省によると、2011年のエジプトへの全世界からの旅行者数は前年比33%減の985万3000人。2月は前年同期比で80%減だったが5月は35%減となり、2012年1月から3月の累計は2010年比で17%減まで回復した。アブデルノール氏によると、今年の4月も好調であることから、今年末までには好調だった2010年レベルまで回復できるとの見方だ。エジプトでは2017年までに全世界からの旅行者数3000万人、観光による収入250億ドルをめざす計画だが、「この調子では十分達成できる見込み」と期待を示した。