HTBクルーズ、長崎/上海初便はキャビン満室-マーケティング強化
HTBクルーズ(ハウステンボスクルーズ)は2月29日、旅客船「オーシャンローズ」で長崎/上海航路の運航を開始した。2月29日に長崎発上海行きの初便が就航し、約260名が乗船。3月3日の上海発長崎行きの初便には、3月2日時点で約250名の予約があったという。初便の乗客はほとんどが日本人で、長崎発は95%、上海発は64%が日本人。パッケージツアーでの利用が主で、クルーズ経験があるシニア層がメインとなった。一方、中国人乗客では若年層がメインとなった。
HTBクルーズでは自社サイトでの直販に加え、旅行会社経由での販売も実施している。日本人の場合、ウェブサイトからの予約と旅行会社のパッケージツアーでの予約の割合は7対3だ。同社によると、旅行会社経由が予想以上に好調で、エイチ・アイ・エス(HIS)をはじめとした5、6社が主にツアーを造成しているという。今後は「旅行会社経由の販売が第一」とのスタンスは保ちつつ、自社サイトでのネット販売も強化。全体の取り扱いのパイの拡大をはかる考えだ。
日本人は3月の春休み期間の予約がピークを迎えており、ゴールデンウィーク前後の予約も徐々に入り始めている。また、会議や社員旅行の個別団体からの問い合わせも多いという。一方、中国人の場合はビザ取得の問題もあり、95%以上が旅行会社経由の団体ツアー。上海を中心に南京や蘇州の旅行会社など40社程度と取引をしており、間際の予約がメインだ。中国人については「始まったばかりで手探りの状況」とし、今後需要拡大に努めていくとした。
HTBクルーズによると、オーシャンローズは乗客用スペースとして当初4フロアで営業する予定だったが、まずは7、8、9階の3フロアで営業するよう軌道修正し、キャビンをメインに定員を420名程度に絞って運航する。3月から5月をマーケティング期間と位置づけ、利用者のニーズの把握に努める考えだ。初便の乗船人数は定員に達していないが、同社によるとキャビンはほぼ満室。4名1室定員の部屋を1名で使うケースなども多いため、定員に達しなかったと見ている。
今後は6月に改修を実施し、5階フロアを乗客用スペースとして開業するとともに、エンターテイメントの拡充や機内設備の充実をはかることで、夏休みの旅行需要の取り込みをめざす。5階フロアについては、椅子席がメインになるか、キャビンがメインになるかは利用者の反応を見て検討していく。
なお、上海行きの初便は濃霧のため遅延し、1泊オーバーナイトして3月2日に上海に到着。HTBクルーズは「定時運航を至上命題としていきたい」とコメントした。