KNT、12年は海外送客98万人めざす、「商品戦略」強化で
近畿日本ツーリスト(KNT)は2012年、海外旅行全体で前年比10%増となる98万人の取り扱いをめざす。2月7日に開催した“第10回大海外旅行交流コンベンション”の中で、KNT常務取締役の小川亘氏らが明らかにしたもの。すでに発表済みのホリデイの“大改革”と、団体旅行で重点市場の販売強化や海外学生団体の先行契約や、学校のキャンプや語学研修など“修学旅行外団体”の拡大、さらに人材育成やリスクマネジメントなどにより、2ケタの伸びを達成する考えだ。
ホリデイの“大改革”について、KNT執行役員・個人旅行事業本部カンパニー海外旅行商品事業本部長の田口久喜氏は、「リアル店舗とパッケージホールセラーが生き残る」ことが目的であるとし、一昨年からのウェブ商品への注力が「当たり前」になってきたため、その次のステップとして断行したことを説明。方向性として、「お客様に対して店頭で“語れる”商品。そこで会話が弾み、最後は『あなたから買って良かった』と言っていただける商品」をめざした。
例えば、ハワイでのラウンジリニューアルや2階建オープントップバス4台の新規導入などのほか、パンフレットで掲載せずに、現地到着時にサプライズでレイをプレゼントするなどして満足度を高めていくことで、“価格競争”から“価値競争”にシフトする。
このほか、中長期的な視点に立って商品造成の方向性を見出したり、消費者向けの宣伝などを担う「商品戦略課」を新設。取締役兼執行役員・海外旅行部長の權田昌一氏は、新デスティネーションの商品開発を例に取り、これまでは航空会社や政府観光局との調整やマーケティングなどの業務に時間を割きにくかったところを、今後は新部署に担当させるねらいを説明した。
新部署は、観光や食事の組み込みによる高収益商品やビザが必要な国など店舗販売に向いた商品、先行契約と顧客の囲い込みにつながるクルーズやウェディング、ハネムーンの商品の造成を促したり、新デスティネーションの開発などに取り組む。また、消費者向けプロモーションとして、首都圏でのトレイン・ジャックなども計画している。