業界人が語る2011年実績と市場予測-読者アンケート(1)

  • 2012年1月26日

 今週火曜日から旅行会社の今年の展望、方針をまとめた記事を掲載しましたが、今回は読者の方々を対象に実施したアンケート結果を掲載します。読者の方々のそれぞれの業務を通して見た2011年の動向と今後の予測をたくさんいただきました。2012年は、ロンドンオリンピック、日中国交正常化40周年、東京スカイツリーの開業など明るい材料や、日系LCCの本格運航など業界の変化につながりそうな出来事も予定されていますが、実務を通してどのように感じているでしょうか。未曾有の危機に襲われた2011年を振り返りながら、2012年がどんな1年になるのか、また、どんな1年にしていきたいのか、率直な意見をまとめました。

 ※旅行会社、航空会社、ホテル、ランドオペレーター、旅行業関連の方など106人の方にご回答いただきました。ありがとうございました。


2011年の重大ニュースは東日本大震災と原発事故

  2011年の重大ニュースとして12項目を挙げたところ、72人が東日本大震災を、19人が原発事故と回答しました。あわせると91人と、全体の8割以上になります。「2011年上期の団体案件がほぼ中止となり、業績に多大な影響が生じた」(第1種旅行会社営業、50代前半、男性)「旅行先の選び方の意識が変わった気がする。海に近いという利点が『もし地震が起きたら津波が来る』という考えに直結して難色を示されたことも」(第2種旅行会社カウンター、20代後半、女性)など、会社の業績に影響を与えただけでなく、個人の価値観や趣向にも変化が生じたようです。

 また、日本全体で、「絆」という言葉がキーワードにもなりましたが、「ボランティアツアーに個人的に参加した。現地の方々と交流を持てたが、それをどう生かしていくか考えてから復興支援を考えたいと思った」(第2種旅行会社カウンター、40代前半、女性)という人も。このあとの、「2012年に注目が集まると思う旅行商品は?」という質問項目の回答にも、ボランティアツアーと回答した人は多く、はからずも震災によって旅行業界に新たな商品ジャンルが確立しました 。

 震災、原発以外の回答は全て一桁台ですが、その中でもっとも多かったのは、タイの洪水と回答した4人。「レジャーのみならず、業務渡航の売上にも非常に響いた。マスコミの影響により被害が出ていない地域も敬遠され、タイ全土すべてが洪水にのまれている印象を持ったお客様も少なくなかった」(第2種旅行会社営業、30代前半、男性)とメディアの報道のあり方を指摘する声もありました。また、チュニジア・エジプト暴動、円高基調、日系LCCを選んだ人は3人、プライベートフェア開始、燃油サーチャージ高騰を選んだ人は1人に留まりました。

 さまざまな要因により旅行需要が落ち込んだことも事実ですが、8月には海外旅行者数は2ケタ近くの伸び率を示し、単月で過去最高を記録するほど、夏以降は旅行需要が回復するという傾向が見られました。「震災後の反動か、夏の旅行が激増した」(第1種旅行会社営業、40代後半、女性)、「震災後は申し込みがほとんど無くなり、団体旅行も取りやめや延期になったが、個人的には海外や国内の旅行にでかけていたことがあとでわかった。後半の秋になって団体が集中した」(第2種旅行会社カウンター、40代前半、女性)と回答した人も。では実際に、2011年に好調だったデスティネーションはどこだったのでしょうか。