訪日、12年春の回復めざす-溝畑氏、復調評価
観光庁長官の溝畑宏氏は12月16日の定例会見で、2012年春までの訪日市場の回復をめざす考えを示した。これはこのほど発表された世界旅行ツーリズム協議会(World Travel&Tourism Council/WTTC)のレポートで、日本の観光産業の回復が早く、訪日外国人旅行は12年上半期までに回復する見込みとしたのを受けてのもの。溝畑氏は「来年の上半期など悠長なことは言っていられない。できるだけ早く、できれば桜のシーズンくらいまでには(回復したい)」と意気込みを述べた。
WTTCのレポートでは、日本の観光産業についてWTTCが5月に予測した3つの予測のうち、もっとも楽観的なものを上回る順調な回復を見せていると指摘。国内・海外旅行では震災前に予期されたレベルもしくはそれ以上の回復に達しているとした。一方、訪日外国人旅行は完全な回復には至っていないが、現在の傾向が継続すれば2012年上半期までに回復に至ると予測した。
溝畑氏は、旅行自粛ムード撤廃への呼びかけや、風評被害の払拭のための日本の安心・安全の情報発信など、震災発生直後から実施してきた「政官財が一体となった広報対策が予測を上回る需要回復につながったのでは」と評価。ただし、「WTTCの予測を上回る順調な回復をしたが、まだまだ回復の途上にある。観光立国という大きなテーマを抱えている以上、大きくはずみをつける必要がある」との考えだ。
2012年は震災発生から1年となり、世界からの注目も集まることから「メッセージ性のある事業や仕掛けをして、回復だけでなく将来の訪日外国人2500万人体制や、東北復興、国内全体の需要拡大、風評被害の撤廃などテコ入れしていきたい」という。たとえば第3次補正予算では「東北観光博」を実施し、東北地方全体を博覧会場と見立てて地域や民間の取り組みを連携させ、統一的に情報発信することで東北観光を盛り上げていくとした。