JTB、中国発訪日旅行はFIT、MICE、SIT重視-品質アピール
ジェイティービー(JTB)は中国でのインバウンド事業で、成長市場と捉えるFIT、MICE、SITにターゲットを絞り営業活動を展開していく方針だ。JTBエイティーシー社長の吉村久夫氏は、日経BP社が12月1日に開催した第1回日経BPインバウンドBizセミナーで「インバウンドは成長事業だが、そのなかでも成長市場、分野に明確に重点をおく」とし、「受け側といえども、こちらから仕掛けて営業展開を行なっていく」と意欲を示した。
個人観光ビザの要件緩和や沖縄数次ビザの設定で、好調なFIT市場向けには、中国のFIT取扱旅行会社や航空会社と提携し、流通の確保をはかる。また、インターネット販売の拡充をめざし、提携と直販の両面で販売を強化。FITが旅行中に安心して移動できるようなオペレーションシステムも構築していく考えだ。
さらに、FIT向けパッケージツアー「サンライズツアー」で英語の売れ筋商品の多言語化や、中国語単独ツアーも他社との共販商品として40コース販売する。また、訪日外国人向け宿泊・ツアー予約サイト「JAPANiCAN.com」で、春節の需要取り込みをはかるためにサイト限定の特別ツアーも展開する予定だ。
MICEについては、JTBブランドを活用し、日系企業への営業を強化。中国のMICE専門旅行会社と連携をはかるとともに、需要が高まる産業視察にも力を入れていく。SITについては専門性が求められるため、事業パートナーと提携のもと、メディカルツアー、北海道や沖縄でのウエディングとハネムーンを組み合わせた提案、ゴルフやスキー商品の企画を実施していく。
なお、吉村氏によると、2011年の中国人訪日客数は、3月の東日本大震災から8月までは前年の50%程度で推移していたが、9月は前年比18%減まで回復。10月も昨年の尖閣諸島問題の反動もあるが、前年並みまで戻ってきていることから、さらなる拡大に期待がかかるという。2012年は日中国交40周年であることから、相互交流を拡大し、市場を広げていきたい考えだ。
▽中国発アウトバウンド、高品質な商品アピール
一方、中国人のアウトバウンド事業では、JTB新紀元で富裕層や中産層をターゲットに、高品質な商品を販売。同社ブランドの信頼感と安心感をアピールすることで、他社との差別化をはかる方針だ。日本へのツアーを主に販売し、今後中国人に人気があるハワイ、ミクロネシア、アジアへと展開していく考え。
商品戦略としては、ホテル保証や既存のコースに旬の素材を加えた団体周遊型商品を設定。FIT向けにはインフラの用意や着地型商品の充実をはかる。さらに、メディカルツアーや海外ウエディングなど、SITをターゲットに商品造成をはかっていく。販売戦略としては、インターネットを活用し情報発信するとともに、ターゲットの客層にあった百貨店、銀行、ゴルフ会員などの組織への営業活動も実施。将来的には情報発信基地として店舗を設置することも検討しているという。