JTB中間期、レジャー回復も減収減益、ウェブとルック強化へ

  • 2011年11月27日

 ジェイティービー(JTB)の2012年3月期中間連結業績(2011年4月1日~9月30日)は、売上高が前年比10.1%減の5481億9000万円、営業利益が40.1%減の33億9500万円(前年:56億7100万円の黒字)、経常利益が19.5%減の49億6600万円(同:61億6800万円の黒字)となり、当期純利益は10.6%減の20億4500万円(同:22億8800万円の黒字)であった。震災の影響は受けたものの、第2四半期の旅行事業は個人旅行を中心に回復。下期についてJTB取締役経営企画部長の光山清秀氏は、「予約は堅調に推移しているが完全回復ではなく不透明な状況」と話し、通期経常利益10億円、最終利益黒字化をめざし、ウェブへの投資、ルックJTBの商品力強化によるシェア拡大、支店の後方業務集約などに取り組んでいく。

 旅行事業の売上高は9.4%減の4946億4000万円。このうち、海外旅行は第1四半期に旅行自粛の影響を受け大幅に前年を下回ったが、ルックJTBが堅調に推移するとともに、価格訴求型商品やウェブ専用商品の積極導入で韓国、台湾を中心とするアジア方面の販売が好調で、7.4%減の2217億2100万円となった。業務渡航は順調に回復している一方、MICEなどの法人団体は伸び悩んでおり、前年の水準までには時間を要するとの見込みだ。

 国内旅行は、間際化の傾向が強まりインターネット販売を中心に販売が急伸。また、教育旅行の取扱額が前年を上回ったが、売上高は9.6%減の2532億7900万円となった。訪日旅行は、震災後の日本への渡航自粛勧告やクルーズの日本寄港中止などの影響を受け、24.9%減の196億4000万円となった。

 また、震災以降全社で経費削減に取り組んでおり、店舗や事業所の統合、移転などによる支払家賃の削減や節電などによる管理費用を削減。販売費と一般管理費は8.3%減の1147億9000万円とし、前期に比べて104億3600万円の経費削減を実施した。


▽下期状況は不透明も予約は堅調、ウェブとルックの販売強化で黒字化へ

 JTB取締役旅行事業本部長の高橋広行氏によると、第3四半期(10月~12月)は海外、国内ともに前年を上回る取扱額で推移しているという。海外旅行は2%増、国内旅行は1%増で、いずれも法人よりも個人旅行の回復が顕著だ。ルックJTBは上期に引き続き、下期も円高の追い風で12%増で推移。ハワイや韓国、台湾、アジアが2桁以上で伸びており、ハネムーンやウェディングの販売も好調だ。団体旅行は2%減であるものの、上期に中止になった修学旅行で下期にずれこむなど教育旅行団体は2%増となっている。

 また、エースJTBも2%増と前年を上回り、東北方面以外は前年並みで推移。九州新幹線が開通した九州方面は30%増と大幅に前年を上回っている。また、東京ディズニーリゾートへの旅行も回復し、全体をけん引した。

 下期に販売を強化する考えのウェブ部門は、現時点で宿泊販売が17%増、国内ツアーが50%増、海外ツアーが33%増、海外個人旅行が30%増と大きく伸びており、「ウェブと店舗のクロスチャンネル販売が顧客のニーズをとらえている」(高橋氏)とみている。さらにウェブ事業を強化するため、金額は明らかなにしなかったものの、リスティング広告を中心に経費を投入する。また、ウェブサイトの見え方の工夫や商品力も高めていく。このほか、商品改革を進めてきたルックJTBについても継続して商品力強化に取り組む。

 なお、連結対象会社数は国内83社、海外80社、持分法適用会社20社の183社で、2011年3月末に比べて4社減、2010年9月末に比べて10社減となる。9月末の従業員数は、2011年3月末に比べて372名減、2010年9月末に比べて1477名減となる2万5836名であった。