20代インタビュー:グランドツアー代表取締役 髙野博幸さん(28歳)
20代応援企画!
社長になって見えたこと-若さで新しい旅行業を切りひらく
-第1種の大手旅行会社と第3種の旅行会社、ギャップもあったのでは
仕事の進め方が大手旅行会社とはまったく違いました。例えば、大手旅行会社では、私が担当するのは新規顧客の開拓まで。その後の手配は別の担当に任せて、私は営業に集中していればよかったのです。
ところが弊社では、新規顧客を開拓したスタッフが、そのまま手配も請け負い、最後までお客様とお付き合いするのが慣例でした。それをわからずに、新規開拓したお客様を社内に振り分けたところ、不満や軋轢が生じました。そこで手配業務を自分でするようにしてみると、今度は新規営業ができず、悪循環に陥ってしまいます。これは、最初に意図をきちんと説明しなかった私の失敗でした。
また、大手旅行会社の在籍時は、1ヶ月あたり何十件、何百件の出張があるような企業に営業をかけて、全体的な枠組みとしてご提案していましたが、今は、月1件という企業でもすぐにお伺いします。お客様とプライベートで飲みに行くこともありますし、お客様との距離が近づいたとも思います。弊社のような規模で重要になるのはコミュニケーションにつきます。中小企業らしく、お客様にどんどんコミュニケーションを取り、ニーズを把握していくことが大切です。
-いち社員から代表取締役というのもすごい転身ですよね
実は、私は弊社に入るまで、順風満帆な人生だったんです(笑)。中学からバスケットをやって、その実力を買っていただいて秋田県の能代工業高校に入り、スタメンで実績も残しました。3年生の時には、年に3回ある全国大会のうち2回優勝したんです。そして大学もバスケットをやって、社会人チームからもお誘いをいただいたのですがあえてお断りして自分で就職活動をし、大手旅行会社に入社できて…。
ですから、弊社に入った時も、私の力でどうにでもなるものと思っていました。しかし、実際には売上も利益も思うように上がらず、自分が思い描いていたサクセスストーリーとはかけ離れていたところで推移しました。「こんなに人生って上手くいかないのか」という大きな挫折を味わったんです。
そして、ものすごくネガティブな自分が出てきたんです。自分が嫌っていたタイプの人間、うじうじと言い訳ばかりしている人間になっていて。でも、その時に、「ようやく自分が全部出たな」とも思いました。弱い自分を受け入れて、人に話せるようになった段階で、ようやく自分の立ち位置を理解して、周りの助けを求められるようになりました。本当は、いつだって自信を持っていたいし、(弱い自分のことを)人には話したくない。でも、自分自身の力だけではダメなんだと受け入れられたんです。そのあたりから業績も好転していったと思います。